くちづけ(1955)のレビュー・感想・評価
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石坂ワールド全開!
1955年。算正典、鈴木英夫、成瀬巳喜男監督。石坂洋次郎原作の短編を3人が監督するオムニバス。独特の女性像を描いた石坂ワールドが全開。とくに、筧、鈴木の両監督作には(原作に由来すると容易に想像がつく)理屈っぽいせりふ回しやくすぐりが多く、動きが停滞しがちなのだが、そこで思考を揺さぶられる不思議な心地よさがある。自然のロケーションによる解放感が率直すぎる人物像と合っている。特に第二話の中原ひとみは思春期の微妙な感覚と天真爛漫さを兼ね備えたすばらしい演技をしている。石坂作品の人物は自然のなかで生き生きとする。一方で、成瀬監督は構図としてはさすがとしかいえないすばらしい構図に収まっているが、ほぼセットなので、石坂作品の良さが出ているとは言いがたい。よくも悪くも成瀬作品であり、成瀬作品ならほかに名作がいくらでもあると思ってしまう。全体的にはすばらしいものを観た感覚が残る。 石坂洋次郎の女性像については、三浦雅士「石坂洋次郎の逆襲」(2020)に詳しい。
司葉子&高峰秀子&青山京子が出演オムニバス映画
筧正典、鈴木英男、成瀬巳喜男が1話ずつ監督したオムニバス映画。 ほのぼのとしたロマンティックさが楽しい映画だった😊 ■第一話「くちづけ」(筧正典監督) 大学生の二人の男女(青山京子&太刀川洋一)は仲良しで、試験の最中に太刀川が青山京子へカンニングお願いする。教授は笠智衆。 その後、青山京子の義理の姉=杉葉子は未亡人になってしまっているが、「実はね、私、結婚する前に一度だけ彼と接吻したことがあるの…」と言えば、青山京子は「まぁ~」と驚く。時代を感じる「告白」である😄 そして、青山京子も太刀川に唇を奪われるが………といった学生ロマンスを描いている💗 ■第二話「霧の中の少女」(鈴木英男監督) 鈴木英男監督作品はクライム系が好きだが、こうした恋愛映画を撮っていて、なおかつ主演の司葉子が美し過ぎてクラクラしそうだった😍笑 司葉子は東京の大学生だが夏休みに実家に帰っていた。門田駅(読み方:もんでん)が映ったので「何処だろう?」と調べたら会津若松が舞台であった。 その会津若松にいる司葉子の実家に「2~3日泊まらせて欲しい」とハガキが来て、やって来たのは小泉博。二人はイイ感じ。ただ、父親と母親は「二人の行動が気になって仕方がない」のだが、父親の藤原鎌足など「二人だけにしたら抱き着いたり、コタツの中で手を握ったりするに決まっている」というのは自分が若い時にしていたことらしい😄笑 圧巻だったのは、司葉子・中原ひとみ・飯田蝶子が3人並んで温泉に入って歌う場面。小泉博は隣の男湯で聞いている。 なかなか楽しい一編だった。 ■第三話「女同士」(成瀬巳喜男監督) 主演は高峰秀子、上原謙だが、開業医をしている上原謙が看護婦(中村メイコ)に惚れられている。それを中村メイコの日記を読んでしまった高峰秀子が知り、八百屋の男(小林桂樹)と中村メイコをくっ付けようとする。 そして二人目の看護婦が来たのだが、なんと八千草薫。八千草薫の方が前の看護婦より綺麗!🤣笑 妻の高峰秀子の心配は分かるが、医者をしている夫が上原謙というだけでモテモテになるのは分かるだろう……という感じ😄笑 3作とも、とっても楽しい映画であったが、個人的には司葉子出演の第二話が良かった🎥✨✨✨ <映倫No.1885>
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