息子の縁談
劇場公開日:1955年3月6日
解説
朝日新聞に連載された林房雄の小説を「竜虎八天狗 第三篇・完結篇」の八木保太郎と「此村大吉」の村山俊郎が共同で脚色し、「女人の館」の春原政久が監督に当る。撮影は「火の車お万」の星島一郎、音楽は「愛のお荷物」の黛敏郎の担当。出演者は「母を尋ねて幾山河」の船山汎、「明日の幸福」の久我美子、「一寸法師(1955)」の三浦光子、「隼の魔王」の波島進のほか藤里まゆみ、佐山二三子など。
1955年製作/99分/日本
配給:東映
劇場公開日:1955年3月6日
ストーリー
銀座の一角にある大熊洋品店の若旦郡の小太郎は、若い女性の心をそそる男前であった。ここに政界の黒幕栗田金平は愛嬢弓子を、ブルジョアマダム三楠夫人は整形外科の女医京野照子を立てて、夫々小太郎に縁談を持ちかけてきた。小太郎の父大作は気のいい苦労人だが養子の身で、この二つの息子の縁談に唖然としている。その上、小太郎は新橋の小喜美姐さんと密輸品取引ウエリントン商会の秘書ミス・ドロシイからも、言い寄られるというモテ方。弱りはてた小太郎は、親友小杉庄太の妹で、大熊洋品店の縫い子をしているミドリを恋人に仕立て上げて、この女性群の攻撃を退けようとした。ところがその芝居が蒿じて、彼はミドリが本当に好きになってしまった。しかしミドリは冷たくはねのけたので、その夜銀座の飲み屋には珍らしい小太郎の酔態が見られた。この時通り合わせた二人のヤクザに喧嘩を売られ大乱闘の末小太郎は打倒されてしまった。意識を回復したとき、彼は顔中ホータイをされ、完全無欠の美貌を有する女医者の看護を受け、外部とは絶対に面会厳禁という仕末。実はこの病院は三楠夫人の経営するもので、整形手術に成功した女医の照子さんを彼と結婚させるために、カスリ傷しか負っていない小太郎を病院へ押し込めたのである。たまりかねた小太郎は病院を脱出した。この時、ミス・ドロシイはウエリントン商会の密輸がばれて羽田から失踪、アメリカなら何でもOKのアメタラ姫の弓子嬢も浮気ぶりがバレるし、美人でも無表情の照子さんも困るし、という折も折、江戸ッ子の小喜美姐さんが諦め、愛情を抱き合う小太郎とミドリを結ばせた。