君死に給うことなかれのレビュー・感想・評価
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主人公の男は薄っぺらい
戦争末期、主人公(池部良)は入院中の母を看護してくれる女性(司葉子)を愛してしまう。 しかし、親友から妹と結婚してくれと頼まれ、態度がはっきりしない。 看護婦は故郷に広島に帰るが、主人公は追いかけて結婚の約束をする。 主人公は徴兵され、敗戦で引き揚げてくるが、婚約者についてはあきらめていた。 主人公が薄っぺらく見え、これがデビュー作の司葉子の可憐さに釣り合わない。
てっきり出征した男性に対する言葉かと思ってたら・・・
戦時下のメロドラマ。親友が戦地に赴くことが決まり、「妹・礼子をもらってほしい」と頼まれた藤森亘。しかし、彼には病に臥せっていた母親を最後まで看護してくれた久美子に恋していたのだ。礼子との決断を迫られるも、久美子に会って話をしたかった亘。ところが、久美子は故郷の広島へと突然帰ってしまうのだ・・・。諦めきれない亘。汽車時間を確認し、東京駅で列車に飛び乗り、ようやく久美子を見つけた。途中、空襲に遭うも、二人はキスをして、お互いの心を確認するのだが・・・という前半。 戦争が二人を引き裂き、すれ違いも続くのだが、後半は一気に様相が変化する。久美子は被曝して、右頬にはケロイド痕、そしていつ発症するかわからない白血病の恐怖と一人戦っていたのだ。 池部良の演技がさっぱりしすぎていて、新人ながらも司葉子の演技の方が光っていた。顔の火傷痕を見られないようにマスクをして、池部から逃げるように立ち去る姿。何とも言えない悲哀がこもっている。台詞には表れないのですが、愛するが故に自ら引こうとする気持ちが伝わってくる。ちょっと『エレファントマン』を思い出してしまった。 空襲警報、防空訓練、召集令状、そして列車への空襲と避難のシーン。こうした戦争の悲劇も再確認できる。最も印象に残るのが看護婦さんたちの患者輸送訓練だったかな・・・
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