芸者秀駒
劇場公開日:1954年8月10日
解説
造船疑獄事件でジャーナリズムを賑わした芸者秀駒を扱ったもので、「花のいのちを」と同じく菊田一夫の原作を原作者と木村重夫が協力して脚色、「ママの新婚旅行」の佐藤武が監督する。撮影は「狂宴」の浦島進。出演者は「太陽のない街」の日高澄子、「二挺拳銃の龍」の利根はる恵、「雲は天才である」の左幸子、「母の秘密」の小笠原弘などである。
1954年製作/87分/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1954年8月10日
ストーリー
海運、造船界に各社とも造船割当の争奪戦に必死であった頃、征野汽船でも会社の死活にかけて運動に大童であった。赤坂の料亭「鷹野」で、征野汽船は今日も又、大臣をはじめ坪田局長、佐生代議士、有島代議士を招待した宴会をひらき、売っ子秀駒や秀千代、さと子等の芸妓が席にあった。征野社長秘書谷口省吾は、忙しく手配のために動き廻っていた。一方秀千代の父小田切作造は、同じ印刷業の綱島と共に、大口の役所の仕事をとるために役人を買収しようと相談していたのだ。彼の窮境は、今や末娘成子の給料まで借りるような瀬戸際だった。その成子は征野汽船に勤め、谷口に思いを寄せているのだった。さて秀千代も父からの相談に一肌ぬぐことに同意せざるをえないのであった。ところで、一夕、ささやかな待合「川芳]で作造達は早乙女を招待して金をつかませるのだったが、なれぬこととて手間が掛るのであった。同じ頃「鷹野」では征野汽船の豪奢な宴席が設けられ、秀駒は坪田局長にしなだれかかっていた。斯くして造船割当の買収は成功しつつあったのだが、一方、谷口に対して真面目な恋心を抱く様になっていた秀駒は成子のためを思って自ら淋しく身を引いた。やがて次第に拡大してくる造船疑獄が明るみに出、征野社長検挙、谷口の失踪、名花秀駒のことなどが新聞紙上を賑わした。それは小田切印刷に迄波及し、作造は取り調べをうけた日に自殺した。谷口は自首する決心をしたが、成子は既に彼の子を宿していた。秀駒、秀千代も今迄の非を悟り、新しい生活に入る決心をするのであった。