伝七捕物帖 刺青女難
劇場公開日:1954年7月6日
解説
「伝七捕物帖 人肌千両」に次ぐ伝七捕物帖第二話で、捕物作家クラブの原作を柳川真一が脚色し、「別離」の岩間鶴夫が時代劇初のメガホンをとる。撮影は「快盗三人吉三」の片岡清、音楽は「唄しぐれ おしどり若衆」の万城目正。出演者は「素浪人日和」の高田浩吉、「昨日と明日の間」の月丘夢路、「美男天狗党」の北上弥太朗、嵯峨美智子、「弥次喜多 金比羅道中」の伴淳三郎などである。
1954年製作/99分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1954年7月6日
ストーリー
徳川家慶の時代。或る夜彫物師藤次郎が殺された。さっそく調査に乗り出した伝七は、お俊と竹を伴って両国の見世物小屋を覗いて廻る中に、軽業師が事件に関係のあることを知った。その帰路お俊は幼馴染の伊之助がおどおどと短刀を買っているのに出会った。伊之助は加島屋の番頭で、文左衛門のかくしごお光と恋仲であった。その中に一番々頭の清兵衛が何者かに殺され、傍に伊之助の短刀が落ちていた事から、早縄の五兵衛は伊之助を下手人と睨んだ。だが伊之助はお俊にかくまわれていた。伝七はお俊の頼みと伊之助が下手人でないという職業的カンで真犯人捜索に必死だった。清兵衛の初七日の晩、伝七は庭先をかすめた黒い影を追って軽業小屋へ飛んだが、其処で、裸にされ鞭打たれている刺青の女を見た。一方、加島屋を訪ねたお俊はお光に伊之助が無事でいる事を知らせてやったが、その時風呂場でお光の背に浮ぶ隠し彫りの刺青を見た。お俊が家に帰ると伊之助が早縄の五兵衛に縄を打たれていた。その頃伝七は竹と共に軽業師仙吉の舞台を見ていたが、目前で仙吉は綱から落ちて死んだ。伝七が綱の世話をしている楽屋番の善平を問いつめていると五兵衛が現れて、伊之助をかくまった罪を理由に伝七から十手を取り上げてしまった。失意にくれる伝七に、お俊はお光の刺青の事を告げた。と、一瞬、伝七の顔に笑いが浮んだ。謎はとけたのだ。即ち、長崎で商家を営んでいた善平は、その頃受けた加島屋の仕打ちに対して仇討ちをしようと、実娘お光を加島屋へ送り込んで財産乗っ取りを企てたのだが、お光の刺青の秘密のバレル事を恐れて、次々に殺人を犯し、遂に仙吉までも殺してしまったのだった。伝七に問い詰められて善平もお光もその罪を白状した。加島屋と善平は和解したが、善平は独り罪を背負って毒薬を飲んだ。後には釈放された伊之助とお光が、温い加島屋の手の中に残されていた。