快盗三人吉三
劇場公開日:1954年4月21日
解説
高木貢一製作による歌舞伎パロディ。「雪の夜の決闘」の若尾徳平の脚本を、「鼠小僧色ざんげ 月夜桜」の冬島泰三が監督している。撮影は「天馬往来」の片岡清、音楽は「お役者変化」の鈴木静一。出演者は「濡れ髪権八」の北上弥太朗、「風来坊」の若杉英二、「女の園」の井川邦子、「春色お伝の方 江戸城炎上」の中村扇雀、「花吹雪御存じ七人男」の嵯峨美智子などである。
1954年製作/101分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1954年4月21日
ストーリー
天保七年三月十一日、芸者お島と恋に落ちた僧侶弁長が、女犯の罪で日本橋に晒し者になっている時、弁長とは凡そ対照的な坊主日啓の立派な行列が橋を渡って来た。感応院の院主日啓は中野播磨守と組んで妹の美代を将軍の愛妾に仕立て、感応院を将軍の菩提寺にしてその改築には利権を落した木屋文蔵から賄賂を取るあくどさであった。母の薬代を日啓に借りようとして蹴られ僅かな金を盗んだ寺小姓安森吉三郎は、文蔵の倅吉三が盗んだ寺宝紛失の罪迄きて三年間入獄せねばならなかった。出獄した吉三郎は若い女スリを見付け、これを追うが、女連れの男の邪魔が入る。娘は健やかに育つようにとの親心から女装で育てられた吉三で、今では「お嬢吉三」と異名をとる札つきの小悪盗。男は「和尚吉三」と呼ばれてゆすりたかりを常習とする弁長だった。以来、吉三郎は「お坊吉三」と名乗って和尚吉三とインチキをやるが、或る日再びお嬢に邪魔をされてむしゃむしゃしている所へ、和尚が身投げしたお嬢の妹おとせを救けてきた。中野から奉公に出ろと迫られて思いあまった果ての所業だった。お坊は文蔵から身代金を取ろうとし、駈けつけたお嬢をも捕える。丁度その頃文蔵が何者かに斬られ、文蔵は日啓の将軍の嫡子呪穀の秘密をもらして息絶えた。お坊の恋人弥生は父の為に日啓悪事の証拠を掴もうとして自ら生贄に感応院に参篭するが密室に監禁された。委細を知ったお坊は、お嬢を呉服問屋の娘に仕立て、和尚、お島等と共に感応院へ乗り込み、大乱闘の末、和尚、お坊は呪いの藁人形を見付けて弥生を救い出し、お嬢は父を斬った海老名軍蔵を倒した。