御ひいき六花撰 素ッ飛び男
劇場公開日:1954年4月21日
解説
本木荘二郎製作により次郎長三国志シリーズのスタッフ、キャストの面々が顔を連ねる東宝時代劇。脚本、監督、撮影ともに「美しき鷹」の小国英雄、マキノ雅弘、飯村正である。出演者も「美しき鷹」の河津清三郎、「ママの日記」の小泉博、「落語長屋は花ざかり」の久慈あさみ、「春色お伝の方 江戸城炎上」の水島道太郎、田中春男、「鞍馬天狗斬り込む」の小堀明男のほか、第五期ニュー・フェイスの森啓子が出演する。
1954年製作/105分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1954年4月21日
ストーリー
天保十一年、両国橋際の盛り場回向院の境内でこそこそ話合っている二人の男、これぞモサの名人暗闇の丑松と色事師の直侍こと片岡直次郎だった。直次郎は美男を売り物に回向院参詣の若い女を蕩しこんでは小遣い稼ぎ、仲間達はナオコマシと呼んでいる。境内に易者の看板を立てて構えているのは彼等の親玉、直参お数寄屋坊主のくせに市井無頼の徒と交る河内山宗俊で、近くのハキダメ長屋に住んでいた。ここには同じ仲間で柳橋の売れっ妓三千歳や彼女がホの字の南部浪人金子市之丞も居た。丑松が財布をモサった爺きんが身投げしようとしているので助けると、実は武平というこの爺さん、蔵前の札差伊勢屋多兵衛の屋敷へ女中奉公に出してある娘お七の安否が不明。そこで易者の宗俊先生に占ってくれとの事。三千歳が聞き出した情報によると、お七は蔵奉行神谷平十郎の手に移された様子。宗俊が掛け合うと、お七は家宝の茶碗を壊したかどで手打にしたとの挨拶である。臭いと睨んだ宗俊は時の名奉行遠山金さんこと左衛門尉景之に駈け込み訴えをして調査を開始する。直次郎は得意のナオコマシで伊勢屋の娘お糸から秘密の書類を持出させ、市之丞は平十郎を捕えて泥を吐かせ、丑松は多兵衛の懐から手紙をスリ取った。三千歳は多兵衛から聞き込もうと一緒に屋形舟で大川へ出るが、裏をかかれて多兵衛一味に手ごめにされかかる。あわやという時、丑松の注進で市之丞が駈けつけ難を免れる。奉行所では宗俊方から提出された証拠書類を調べた結果、平十郎のお七殺しを始め、蔵奉行の職権を利用して伊勢屋と結托して不正を働いていたことも明るみに出て、彼等は重罪に処せられた。手柄のあった宗俊以下も天下の法をみだしていたかどで揚屋入り、武平は感謝しながら帰っていった。