四人の母
劇場公開日:1954年2月23日
解説
脚本は松田昌一に監督の佐伯幸三(無法者)が協力して書いている。撮影は「母の湖」の渡辺公夫、音楽は「花の三度笠」の渡辺浦人の担当。出演者は「母の湖」の三益愛子、「続々魚河岸の石松 大阪罷り通る」の折原啓子、「鯉名の銀平(1954)」の浦辺粂子、「落花の門」の南田洋子、「叛乱」の三宅邦子などのほか、四年振りに返り咲いた北河内妙子改め楠よし子が出演している。
1954年製作/95分/日本
配給:大映
劇場公開日:1954年2月23日
ストーリー
新潟のしがない料亭に芸者君春として出ているよしみの許へ、前夫三好の妻田鶴子が陽一を引取りたいと訪れた。陽一は信州の女馬喰おとくに頂けてあったが、おとくは陽一を返す事を拒んだ。来年は学校へ上る可愛い陽一の為に、おとくは愛馬まで手放そうと決心していたのだ。その大賑わいの馬市で焚火に落ちた花火が爆発し、驚いた馬が陽一を下敷きにしてしまった。しかし、おとくを承知させようとしてはるばるやって来た医者の三好夫婦が居合わせた為、陽一は一命を取り止める事が出来た。三好は今は大きな病院を経営していて、陽一を東京の学校に上げて立派に育てようと言っている。おとくは遂に三好に陽一を引渡す事に決心した。三好の好意で芸者を退いたよしみも山へやってきて、悲しい最後の別れをした。三好の豪壮な邸宅に移った陽一は、田鶴子の歓待にも拘らず三好家に馴染まず、たまらなくなって家を飛び出した。その頃よしみは危篤だった。上野駅にさまよう陽一は偶然にもよしみの危篤に上京したおとくと対面し、二人は抱き合った。おとく、陽一、たけ、田鶴子に囲まれたよしみは強く陽一の手を握りしめた。始めて本当の母であると聞かされた陽一も、よしみの胸に泣き崩れた。よしみは嬉しそうに静かに最後の瞼を閉じた。