慶安水滸伝
劇場公開日:1954年1月21日
解説
岸本吟一製作の時代もので、村上元三原作の新聞連載小説を「遊侠夫婦笠」の鈴木兵吾が脚色、野村芳太郎が「青春三羽烏」についで監督した。「勢揃い 大江戸六人衆」の服部幹夫が撮影を、「母系図」の木下忠司が音楽を担当している。出演者は「遊侠夫婦笠」の高田浩吉、「早稲田大学」の小沢栄、「母系図」の龍崎一郎、「君の名は」の月丘夢路、「若さま侍捕物帳 恐怖の折り鶴」の嵯峨美智子、「君の名は 第二部」の三井弘次、「青春三羽烏」の紙京子、「東京物語」の笠智衆などである。
1954年製作/96分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1954年1月21日
ストーリー
筑前浪人櫟大介は女形荻野沢之亟の芝居小屋で乱暴者を取鎮めたことから一座の用心棒丸橋忠弥、廓念和尚と意気投合し、救ってやったお甲の家春日屋に落着くことになった。お甲が実父の住む江戸に行くことになり同行した大介は駿河阿倍川で先に大阪を発って江戸にむかった沢之亟一座と一緒になった。忠弥が渡し舟のことで由井正雪の門下と喧嘩を始めたが、正雪の仲裁でまるく収った。その夜、城の秘図が盗まれたという騒ぎで眼ざめた大介は隣室にひそむ黒装束の曲者を捕えたが、傷ついた女と知って逃がしてやった。女は梢といい、江戸の北町奉行神尾備前守が出世の為に捨てた実の娘で、父を苦しめようと得意の忍びの術で暴れまわっていたのだった。江戸についた大介はお甲を父の許に届け、廓念とともに忠弥の家の居候となったが、忠弥の妻さとは夫を有名にしたい一心で正雪に助けをかり夫の道場を盛り立てようとしたので、それを不快に思って出てしまった。一方、父と合わず気拙い毎日を送っていたお甲は備前守の依頼により正雪の動静を探る為彼の屋敷に上った。梢は正雪の意をうけて江戸城に忍び込んだが役人に発見されたところを大介に救われた。一旦逃げた梢は代りに捕らえられた大介を救うべく再びもどったが、それを見た父神尾は二人を逃がしてやった。危難の中で二人は結ばれた。将軍家光の死を機として挙兵を計った正雪は忠弥の妻さとの密告によって事成らず、自刃して果てた。由井邸のお甲と梢を救おうとかけつけた大介の奮闘も空しく梢は役人に捕ってしまったが、父神尾の愛情によって大介と梢は、淋しく大阪に去るお甲に見送られ何処ともなく立ち去っていった。