第二の接吻
劇場公開日:1954年1月9日
解説
かつて菊池寛が東京日日に連載したヒット・メロドラマ、「第二の接吻」は煽情的であるとして「倭文子と京子」に改題、松竹(監督清水宏(1))、日活(監督阿部豊)で映画化された。今度は「浅草物語」の成澤昌茂の脚色で、清水宏(1)(「都会の横顔」)が再度メガフォンをとり「明日はどっちだ」の長谷部慶治が応援する。撮影は、「南十字星は偽らず」の三村明、音楽は服部良一。「今宵ひと夜を」の三浦光子、「雁(1953)」の高峰秀子「女心はひと筋に」の池部良、「太平洋の鷲」の二本柳寛、「家族あわせ」の飯田蝶子、清水将夫、青山杉作、東山千栄子等新劇人が加わっている。
1954年製作/90分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1954年1月9日
ストーリー
山内倭文子は孤児の身を政治家川辺宗太郎の手許に引取られ、そして長じた。同じく父なき後の一切の面倒を川辺に見てもらった青年村川貞夫との間に恋が芽生えたのは、似通よった境遇のゆえだろうか。彼らの恋を妨げるのは川辺の一人娘京子だった。彼女は村川が好きであり、彼との結婚は川辺も承知している。京子の策略で、倭文子は村川の会社の上役宮田と無理強いに見合いさせられることになった。一方京子はある夜、庭のあずまやの暗がりで突然、村川の唇を奪う。純情な彼はそれ以来、倭文子に触れることを後めたくかんじた。さらに京子は、村川宛のタイピスト松井よし枝の恋文を倭文子に見せつける。村川はそのウソをあばいたが、逆に前夜の接吻の件をあばかれて立場をなくした。若い恋人同志はうちのめされてしまった。--葉山の海に面した別荘で倭文子と宮田の見合いは行われた。焦燥した村川は、京子の邪魔をおしのけてその現場に踏みこんだが、倭文子の姿は見えなかった。隠されたのである。夜、一人眠る京子に宮田が迫る。屋外にのがれ出た彼女を追って海岸の岩べりに達した宮田の前に、矢庭に村川が立ちはだかった。昼からその場を立ち去りかねていたのであった。組みあった二人の男は、岩から怒涛のただ中に転落していった。--宮田は死んだ。かさなる難事、不祥事の出来に顛倒した倭文子もまた投身自殺を遂げた。絶望にひしがれ昏々と睡りつづける村川の枕頭で、今は心から後悔しつつも村川を慕う京子が、はげしく身悶えしながら泣きつづけた。