忍術罷り通る
劇場公開日:1953年12月1日
解説
「若君逆襲す」の若尾徳平、「憲兵」の野村浩将の共同脚本により野村浩将が監督した。撮影は「血闘(1953)」の秋野友宏、音楽は「夕立勘五郎」の服部正。「びっくり太平記」の花菱アチャコ、横山エンタツ、柳家金語楼、「すっ飛び千両旅」の藤間紫、坊屋三郎「怪談佐賀屋敷」の浪花千栄子、他トニー谷、宝塚の筑紫まりなどが出演する。
1953年製作/78分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1953年12月1日
ストーリー
大阪夏の陣で戦死、今は天国にいる三好清海入道は、裟婆に残した一子金太郎を恋うのあまり、月光大師に十日間休暇の許しをえて親友猿飛佐助ともども下界に降りる。下界は一九五三年の銀座。行人を驚かしつつ血眼で金太郎をさがす道すがら、酔漢松本の誘いにのって飲み屋に入りこんだ。盃をあげて歓談のあげく松本の鞄をとりちがえて立ちいでたが、中身の札束三万円、もとより大事の物としらぬ二人は悉く風にちらしてしまった。彼らを探しだした渡辺は呆然自失、悲歎のどん底に沈むありさまに、さすがに気づいた二人は、チョンマゲを斬り、洋装に身を固めて弁償金かせぎに大活躍をはじめる。拳闘の懸賞試合でノック・アウトを食らったが、競馬場では猿飛の忍術効を奏して大アナをあてる。弁償は首尾よくなしおえたが、一切金、金の浮世にイヤ気がさし、また四百年後の日本に金太郎を見出すすべもなし、と三好は天国に去る。残った猿飛は、競馬で上げたアブク銭で豪遊するうち、キャバレの花形ドロシー桜木と共鳴、大いに鼻の下をのばしている。天国では猿飛召還のため再び三好を下界に派遣するが、当の三好も愛児とその名も同じ金太郎少年に出合い、その祖母およねから戦死した息子の生還とまちがえられて、彼らの情愛にいつかこの世を去りがてとなる。ドロシーに大金をせびられた猿飛はカブト町で株の暴騰をはかるが、上を下への大混雑に顛倒して右手をいため、印が結べぬままにみごと失敗、ドロシーにも捨てられた。クリスマスの夜、金太郎にサンタクロースの迎えをせがまれてとびだした三好は、銷沈した猿飛とバッタリ廻りあい、彼の化けたサンタ爺さんに金太郎は大よろこび。十日間の期限がきた。後髪をひかれつつよね、金太郎と別れた二人は、劇場にあらわれ、折から興行中の「大阪夏の陣」舞台より三好、猿飛の衣裳、カツラをはぎとって大混乱をまきおこす。侍姿にもどつた二人は、雲にのって次第に小さく天国へ去ってゆく。