風雲八万騎
劇場公開日:1953年10月13日
解説
八木保太郎の原シナリオを「新書太閤記 流転日吉丸」の棚田吾郎、舟橋和郎が再脚色し、「片目の魔王」の佐々木康、吉村正志がそれぞれ監督、音楽を担当、撮影は「青空大名」の三木滋人である。「江戸の花道」の月形龍之介、大友柳太朗、「続々魚河岸の石松」の河津清三郎、「地雷火組(1953)」の三浦光子、「早稲田大学」の徳大寺伸、「青空大名」の薄田研二、東映入社第一回の高千穂ひづる、これに俳優座の岸輝子などが出演する。
1953年製作/96分/日本
配給:東映
劇場公開日:1953年10月13日
ストーリー
三代将軍家光の治下。--大目付役三浦左京亮の孫小平太は他家の飼犬を斬って勘当され、巷で町奴を相手に立廻りのまつ最中、大久保彦左衛門にみつかる。左京と親友の彦左は彼の身柄を引取った。ある日、魚屋の一心太助が天下の一大事ととびこんで、江戸城の大手門で登城途中の旗本衆と、大名衆の衝突が起ったことを告げた。この事件の処置は大名に軽く、旗本には不当に重い片手落ちなもので、旗本は駕篭での登城罷りならぬことになった。憤激した同輩をなだめて、彦左は八万騎の旗本に定紋入りのたらいをつくらせ、これに揺られて続々登城する。左京亮、ひいては士井、酒井など老中との間に一悶着がおこり、それを機会に彦左は天海僧正や、春日の局の操る御政道への不満を思うさまぶちまけて、溜飲をさげる。--一方、小平太の恋人千浪は、天海僧正の伽にのぞまれ、小心者の父親、御座敷番頭泉川市郎兵衛は、泣かんばかりに娘を説く。すべてを諦めた千浪の乗る駕篭が屈強の寺侍にかこまれて上野山にさしかかった折しも、覆面した小平太が斬って入り、原主永のひきいる切支丹一味の助けを得て、千浪を奪いかえした。翌日、太助を千浪に仕立てて寛永寺にのりこんだ彦左は、さんざん天海坊主の油をしぼったばかりか、首尾よく左京亮の許しを得て若い二人の月下氷人となった。しかし春日局のさし金で市郎兵衛はお役失態のかどで自害、家も断絶となるや、左京亮は千浪を嫁として迎えることを拒み、それに反抗した小平太は泉川家の竹矢来を破って千浪を連出し、ともどもいずこかへ姿をけす。--他の信者とともに、捕えられた彼らは、取調べののち従容と火刑に処せられた。左京亮夫妻も後を追って自害した。