混血児(1953)

劇場公開日:

解説

「母のない子と子のない母と」で撮影を担当した井上莞が高原行と蟻プロによって製作したもので、企画小林文子、原作は神奈川県庁で婦人及び児童の福祉の仕事を担当している高崎節子女史が書いている。「泣虫記者」の八木保太郎が構成を立て、脚本を片岡薫と西沢裕が協力して書き「黎明八月十五日」の関川秀雄が監督に当っている。出演者は「山河を越えて」の夏川静江、「縮図」の細川ちか子「さくらんぼ大将」の田所千鶴子、「母のない子と子のない母と」の斎藤美和などである。

1953年製作/129分/日本
配給:北星
劇場公開日:1953年4月21日

ストーリー

ヘンリーは黒人兵と闇の女美佐子の間に生れたハーフであった。商売の邪魔になるので始終母親から家の外へ出されていたヘンリーも遂に湘南海岸の丘の上の昭和愛児園へ送られて来た。そこには親たちから見捨てられたり、食うに困って放り出されたハーフたちが収容されていた。白い子もあり黒い子もあった。この子供たちの疑問はどうして自分たちの皮膚の色がちがうのかということであった。しかし黒い子は白い肌に憧れを持って、黒い子のトミーは自分を養子にしてくれる両親が黒人のボールス中尉夫妻であることに大きな失望を味わった。ママさんに、肌の色はちがっても人間はみな同じで、大切なことは心の善悪だと教えられ、トミーは納得して貰われて行った。ヘンリーは或る日白い子のマリーに「黒い子と遊ばない」といわれてマリーの顔や手足に煤煙を塗って愛児園を脱走した。家へ帰ったが母はすでにフジヤマのキャンプに行ってしまつていた。途方にくれたヘンリーの心に思い出されるのは愛児園の楽しいまどいだった。夜おそく舞い戻って来たヘンリーをママさんはじめ園児たちが喜び迎えた。

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