天狗の源内
劇場公開日:1953年2月25日
解説
「その夜の誘惑」に次ぐ宝塚映画。脚本は中西順三、「恋の捕縄」の倉谷勇が監督している。撮影は「その夜の誘惑」と同じく藤井春美。出演者は、「恋の捕縄」の山茶花究、宝塚歌劇月組組長故里明美の映画初出演、久しぶりの江見渉の外、寺島雄作、杉山昌三九の脇役陣、宝塚歌劇団、宝塚新藝座などが賛助出演している。
1953年製作/75分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1953年2月25日
ストーリー
田舎廻りの一座をドロンした大根役者の半也は、大利根の渡し場で舟賃を払わず逃げ出し小屋掛けの芝居へ侍姿に扮装してとび込んだ。折から土地のならず者エンマの権九郎と鯰のたあ公とがいんねんをつけているのを、眞岡一家の用心棒の一人、花の大きな巻田源内がしずめた。源内は一座の花形錦太夫の気高い美貌にうっとりとなり、彼女も彼の鼻には腹をかかえてふき出した。その帰途、源内は半也をひろって眞岡の用心棒に推せんした。或る日眞岡一家へ挨拶に来た錦太夫たちに、酒くせの悪い儀十がからんで行ったとき、源内の入智恵で留男となった半也が思わぬところで男をあげ、それ以来錦太夫は半也に好意を持った。字も書けない半也は源内に恋文を書いてもらった。源内は想う錦太夫が半也の恋の相手と知ってがっかりするが、けなげにも半也の文使いまでし、掛小屋の外で即興歌まで歌う。その歌にさそわれた錦太夫は、小屋の外のくらがりで源内を半也と思い込んで楽しいささやきに時をすごした。さて翌晩も二人が逢う瀬をたのしもうとしたとき、とたん鳴り渡る法螺貝の音に、大利根をはさんで眞岡一家と大場一家の衝突となり、源内も半也もかけつけなければならなかった。源内のとめるのもきかず半也は奮戦のまん中にとび込み、あえない最後をとげ、源内も致命の重傷を負った。駆けつけた錦太夫は鼻の源内こそ恋をささやいた相手と知り、いとしさのあまり力一ぱい源内を抱きしめた。薄れゆく意識の下に源内はうれしそうな微笑を浮かべて死んで行った。