涙の恋千鳥
劇場公開日:1952年7月23日
解説
製作は新映株式会社で「母を恋う歌」の山崎謙太と高柳春雄のチームの脚本を「夢よいづこ」の小田基義が監督し、東健が撮影を担当している。出演者の主なものは「浮雲日記」の重光彬、「右門捕物帖 謎の血文字」の月丘千秋の他、御橋公、石井麗子などである。なお壽々木米若、小唄勝太郎が特別出演している。
1952年製作/83分/日本
劇場公開日:1952年7月23日
ストーリー
美代は田舎回りの一座にいた母も失ってからは医者の野田勇造に引き取られ、登志子と姉妹のように育てられ、今では勇造の片腕として看護婦をしていた。登志子はかつては惣吉と結婚するように話が決められていたが、彼の家が左前になったので恒子が見切りをつけ、網元山源の一人息子愼也の許婚となっている。が、愼也と美代はかねてから相愛の仲なので、愼也は父の源次郎に登志子との結婚を断ってくれと言う。怒った源次郎はその原因が美代であることを知り、恒子に告げたので、美代は暇を出される。勇造は美代のために弁護に努めたが、婆やのくめから美代の真実の父が勇造であると聞かされた美代は、優しい父のためにも、また腹違いの妹登志子のためにも身を引こうと決心し、元の一座に戻る。愼也はある日楽屋に彼女を訪ねるが、美代は結婚してしまったから諦めてくれと嘘をついて彼を追い返す。まもなく美代は愼也の子供を産み落とした。それから四年--その頃には苦境にあった山源も惣吉の働きで立ち直っていた。そして惣吉は、遠洋航海が終われば源次郎の口利きで登志子と結婚できる、と船上で張り切っていた。一方、久しぶりに家に戻った愼也は、登志子との結婚を承諾した。大漁の旗を掲げて意気揚々と帰ってきた惣吉は、愼也と登志子の結婚話を聞き、だまされたと知って山源に暴れ込むが、若い衆に叩き出される。愼也と登志子の結婚式が街の神社で厳かに挙げられている時、ちょうど美代が澄子を連れて通り合わせた。美代が遠くから幸福そうな横顔を見ていると、突然人の波の中から飛び出した惣吉が匕首を握って登志子に迫った。逃げる登志子、追う惣吉、突然の悲鳴と同時に倒れたのは美代だった。美代は登志子の身代わりになり、澄子のことを頼むと遂に帰らぬ人となったのであった。