伊豆の艶歌師
劇場公開日:1952年4月10日
解説
新人起用と、添物級の中篇劇映画の製作をねらった所謂シスター映画の第一陣。製作と脚本とは「夢多き頃」「早春二重奏」の久保光三、監督は、原、澁谷、中村の諸監督の助手をつとめ、昨年天然色観光映画「日本を見ましょう」を作った西河克己、撮影は同じく同映画の撮影に当たった高村倉太郎である。出演者の主なものは、「本日休診」の佐田啓二、「紅扇」の幾野道子、新人太田恭二、折田衣子、日夏紀子、コロムビアの鶴田六郎に久保幸江、ベテラン小林十九二、清水一郎などである。
1952年製作/44分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1952年4月10日
ストーリー
伊豆の温泉町を流す艶歌師たちの常宿春風楼という安宿は彼等の親分格飛島の経営だったが、実際はスイバレの力という男が縄張りをおさえて、横暴の限りをつくしていた。力は土地の売っ子芸者もとめをつけまわしていたがもとめは同じ艶歌師の潤を愛していた。潤は力にたいして弱い仲間をかばってやって皆から親しまれていたが、殊に胸を冒されている相棒の新吉のことを心配していた。その新吉も、愛人の菊江と妹美也子と一緒に住めるようになったが、潤を眼の敵にする力と最後の対決を迫られたとき、新吉が重態の体でとび出して来て力を刺殺してしまった。それが新吉の潤への感謝の気持ちだった。新吉の死は、美也子や菊江には深い悲しみだったが、潤はもとめと新しい生活へ出発し、力のいない春風楼には明るい空気がただようようになったのだった。