武士道無残

劇場公開日:

解説

新人・森川英太朗が自らの脚本を監督した時代劇。森川監督は昭和六年生れ、慶大文学部卒後、三十年松竹京都に入社し、主に大曽根辰保監督に師事した。撮影担当は川原崎隆夫。

1960年製作/74分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1960年11月30日

ストーリー

殉死が主家を救う唯一の道であり、名誉とされた頃。本多家十二万三千石の若君の死により、榊原信幸の弟伊織に白羽の矢が立った。死んだ若君とは三度しか会ったことのない十六歳の伊織だったが、兄にさとされ、城中の持仏堂参籠へ。追善のため五日間の供養をするのだ。伊織の殉死決定で信幸は百石の加増と御側衆に抜擢された。伊織に墓参のため宿下りが許されることになった。実の子のように育てた信幸の妻お幸は、彼を青いつぼみのまま死なせたくなかった。お幸は信幸に、伊織との同衾を願った。伊織は憧れであった義姉と一夜をともにした。母親としての気持で伊織を抱いたお幸だったが、伊織のことを思うと体が燃えた。夫への詑びを遺書にしたためた。その時、殉死罷りならぬの上意書、昨日までは死ねと命じてきた同じ紙切れが、今日からは死んでならぬという。伊織はお幸とともに逃亡した。お幸とあい抱いた。お幸は死のうと懐剣を伊織の体に突きさした。駈けつけた信幸の刄が、伊織を斬った。お幸は目から懐剣をつきたてた。信幸は凝然と立ちつくした。

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