傷ついた野獣
劇場公開日:1960年7月24日
解説
「暁の翼」の共同執筆者・下飯坂菊馬の脚本を、「女は抵抗する」の弓削太郎が監督したもので、指名手配の殺し屋と彼を英雄視する少年との関係を描いたドラマ。撮影は「痴人の愛(1960)」の石田博。
1960年製作/74分/日本
配給:大映
劇場公開日:1960年7月24日
ストーリー
スラム街の一角、真木医院に一人のヤクザが倒れこんできた。医者の幸平は彼をみて驚いた。彼は戦争中シベリヤで負傷した幸平を助けた春日井隆次だった。幸平は隆次を病室にかくまった。万一を考えてピストルから弾丸を抜いておいた。幸平は附近の子供たちの面倒もみていた。子供の一人鉄夫は屋根の上から隆次と拳銃をみてしまった。十二歳の少年の目には彼の姿が英雄にみえた。鉄夫の姉由紀は清純な娘で、幸平の手助けをしていた。いつしか由紀と隆次の心はふれあった。鉄夫は隆次に子分にしてくれと頼んだ。隆次はバー“ドミノ”に行って、情婦のかおるから拳銃の弾丸と着替を取ってこいといった。“ドミノ”では隆次の親分増田がかおるにいいよっていた。彼には相沢組の親分を射殺した隆次が邪魔だった。鉄夫の子分気取りに、幸平と由紀はあわてた。由紀と幸平は隆次をせめた。隆次は自分の気持を理解されぬままに病院を出た。“ドミノ”の二階には増田が他の女を抱いていた。増田はかおるが裏切ったといい、隆次に香港行をすすめた。これが罠だった。倉庫街に来た時、相沢組の子分たちに襲われた。増田が背後で笑った。隆次は負けなかった。鉄拳が増田の顔に破裂した。警官隊がかけつけ、隆次を包囲した。そこに手製のピストルを持った鉄夫がかけつけ、彼を応援するという。隆次の胸がこみあげた。幸平と由紀は警官隊のマイクにすがりつき、鉄夫を助けろと叫んだ。われに帰った隆次は鉄夫をつきとばして警官隊の前に手をあげて走り出た。