静かな脱獄者
劇場公開日:1960年5月21日
解説
週刊漫画連載の藤原審爾の原作を、「けものの眠り」の池田一朗が脚色し「傷だらけの掟」の阿部豊が監督したアクション・ドラマ。撮影は「俺は欺されない」の伊佐山三郎が担当。
1960年製作/94分/日本
配給:日活
劇場公開日:1960年5月21日
ストーリー
昭和三十二年--土砂降りの雨を利用して宮野刑務所から七人の男が脱獄した。七人とは通称小憎の小西、金庫破りの鍵種、ヤクザの石井、贋札づくりの田中、元銀行員の佐野、元バーテンの高山にカッパライ専門の遠江。石井の情婦カネの待つ山小屋にたどりついたのは鍵種を除く六人。肩を負傷した佐野を小西が助けた。他の五人は佐野が銀行から盗んだ三千万円を狙っていた。一行はカネが用意した東京の下町に潜伏した。佐野は死の直前、金の隠し場所と自分の娘のことを小西に告げた。小西は遺言通り三百万円ずつ仲間に分けた。鍵種の分は石井が預った。三年後--遠江は病死、石井はカネと電気屋を、高山は情婦広子と立川でバーを、田中は印刷屋を開業していた。ある日、香港から殺し屋の関根がやって来た。実は小西で妹を探しに香港に渡り、今度の仕事を機会に足を洗う決心だった。仕事は日本に送って行方不明になった麻薬を探すことだった。彼の便宜を横浜のボス菊田がはかった。小西は鍵種の娘葉子を訪ねた。そこで数日前、満期で出獄した鍵種が交通事故で死に葉子には金が渡っていないことがわかった。一方、小西は麻薬のことで直という田中の義弟をつきとめた。早速石井の所に田中、高山らを集めて鍵種の金を追求した。犯人は石井と田中だった。直は菊田の乾分に殺され、田中と広子も石井に殺された。薬も奪われた。石井は小西を菊田の所に案内した。途中、菊田の仕掛けた爆薬で車が吹っとんだ。石井は小西抹殺を麻薬と交換に菊田に頼んだのだ。負傷した石井を残して小西は菊田の事務所に乗りこんだ。が、逆に小西は菊田に捕まった。危機一髪、かけつけた石井に救われた。カネは石井の帰りを待っていた。鍵種を謀殺したのも彼女だった。その時、台所で遊んでいた娘正子が、洗剤を洗濯機の中にあけていた。それは石井が隠していた麻薬だった。気が狂ったように笑うカネを刑事が逮捕に来たのだった。