赤い夜光虫
劇場公開日:1966年6月19日
解説
「四畳半物語 娼婦しの」の成澤昌茂がシナリオを執筆、「夜の牝犬」の村山新治が監督した“夜の青春シリーズ”第七作目。撮影は「非行少女ヨーコ」の仲沢半次郎。
1966年製作/85分/日本
配給:東映
劇場公開日:1966年6月19日
ストーリー
歓楽街道頓堀のバー“夢の橋”は、ママ、ホステス、ラウンド、それに客も女というように、レスビアン・バーで、頽癈ムードを一杯にかもし出していた。幼時に義父に犯されたママのリエ。バー・ミドのバーテン実に捨てられたマネージャーのじゅん。そしてホステスのヒデも、あいも、それぞれに男に異常な憎悪をもつ女ばかりだった。リエとじゅんは夫婦気どりだし、あいは内縁の夫でバー・ミドのバーテン豊の目を盗んで、客の少女歌劇スター紅わたると恋愛関係と、彼女達はすっかりレスビアンの虜だった。客の中に昌子という十八歳の娘がいた。彼女は、新興成金板斎梅三郎の一人娘だが、八人の妾をかこう女狂いの父親を持つ娘のたどり落ちるコースは決まっていた。昌子は、より強烈な刺激を求めての夢の橋通いだった。そんな昌子を、紅わたるの付人で学生の西清彦は、厳しくさとすのだが昌子はかえって反発するのだった。一方、夢の橋で偶然じゅんを見つけた実は、豊と共謀してじゅんをだまし、板斎に世話して稼ぐなど、すっかり以前のヒモに収まってしまった。この事実がリエにばれたからたまらない。嫉妬に狂ったリエは、じゅんを折檻した。リエの異常な欲望は昌子にまで及び、リエ、昌子、じゅん、ヒデ、あいと、むせかえる女体の地獄絵図が繰り広げられた。狂気のリエたちの行動は、却って昌子に自分を見つめる時間を与えた。汚れ、呪われた身体の昌子に初めて復讐の誓いが燃えあがった。穢しい一本の糸に結ばれた同じ穴のムジナ、父親、実、豊、わたる達を破滅させるのに時間はかからなかった。しみついた暗いかげりは覆いようもないが、必死に明るい未来を夢みる昌子に、清彦は優しく肩に手をまわすのだった。