涙になりたい
劇場公開日:1966年5月18日
解説
「北国の街」の倉本聰と「この虹の消える時にも」の石森史郎が共同でシナリオを執筆、「青春ア・ゴーゴー」の森永健次郎が監督した歌謡もの。撮影は「拳銃無宿 脱獄のブルース」の松橋梅夫。
1966年製作/81分/日本
配給:日活
劇場公開日:1966年5月18日
ストーリー
山間の町、松本市に住む高校生椎名吾郎は、東亜大学受験を目前にひかえて張り切っていた。父の毅一郎は鳥の研究に没頭し兄の市郎は、父の助手をつとめ近々、フィアンセの酒井桃子と結婚し、米国へ留学することになっていた。母由美は、十八年前、毅一郎が、研究に没頭するあまりに家庭をかえりみないのを嫌って、家を出てしまったのだが、毅一郎は、この事実を吾郎には、ひたかくしにかくして、母は死んだものと言い聞かせていた。しかし吾郎とても、すでに十八歳。真相は知らぬまでも、母が生きていることには感づいていた。やがて、吾郎は上京し、試験場で、ふとした縁で、春日雪子という女性を知り、楽しい東京の一日を過した。ところが、この雪子の母由美というのが、吾郎の母でもあったのだ。由美は、毅一郎のもとをとびだしたあと、再婚し今の春日姓を名乗るようになり、この雪子と、健という子をもうけていたのだ。チンピラヤクザの健は、毅一郎や、市郎、吾郎などの存在を知ると、母の由美を愛するあまりに、彼らを逆うらみして、つきまとっていた。一方、そのころ毅一郎には、長年の研究の成果が実って、文化功労賞の受賞が決っていた。だが、健の出現から事情を知ってしまった吾郎は、素直に、それを喜ぶことができず、雪子に悩みを打あけた。雪子は、そんな吾郎を母の由美に会わせた。母が悪い人でないことを知った吾郎は何とか、毅一郎のかたくなな心を柔らげようと努力した。紆余曲折はあったものの、吾郎の努力は実り、毅一郎は由美と再会しようとした。ところが、何もしらない健は、誤解して、毅一郎を刺してしまった。だが、心配して病床にかけつけた由美に、毅一郎は晴れやかな笑顔を見せるのであった。見守る雪子と吾郎の胸には、明るい希望が満ち満ちていた。