劇場公開日 1975年5月17日

「豪華絢爛なミステリー急行」オリエント急行殺人事件(1974) 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5豪華絢爛なミステリー急行

2015年1月14日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

楽しい

知的

先日の三谷幸喜脚色のSPドラマを見たら、また本作が無性に見たくなった。
(別に三谷版がつまらなかったからじゃなく、むしろオマージュもたっぷりで見易く作られ、思ってた以上に良かった)

イスタンブールでの仕事を終え、オリエント急行でロンドンへ向かう名探偵ポアロ。道中、アメリカ人乗客が殺される。状況証拠から、犯人は同じ車両の12人の誰か。そしてポアロは、意外な犯人と事件の真相を暴く…!
ミステリーの女王アガサ・クリスティーの名作小説をシドニー・ルメットが映画化した1974年の作品。

小説も映画も有名なので、犯人も真相も知っている方は多いはず。
しかしそれでも見応えあるミステリー。
実際自分も見るのは何度目か分からないが、やっぱり楽しめた。
名作はいつ見ても面白い。

冒頭のとある大富豪令嬢の殺人事件、乗車を拒否されるポアロ、完璧なアリバイがある12人…伏線も鮮やか。
本作初見時は、犯人や真相には素直に驚いた。
この手のオチの元祖ではなかろうか。
ただただ、クリスティー女史に感服。

加えて映画は、ゴージャス感に酔いしれる。
美しい映像、華やかな美術・衣装、流麗な音楽。

そして何と言っても、贅沢過ぎるオールスターキャスト。
ポアロ役で長台詞を披露したアルバート・フィニー、憎々しさが見事なリチャード・ウィドマーク、00ナンバースパイとは違う役柄で巧演したショーン・コネリー、あの役のパロディのように思えるアンソニー・パーキンス、ハマり役としか思えない執事役のジョン・ギールグット…。
特筆すべきは、ローレン・バコール、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ジャクリーン・ビセット、イングリッド・バーグマンら女優たちの美しさ。

米国ミステリーとは違う英国ミステリーの上質な味わい。
豪華絢爛な急行に乗って、極上ミステリーをお楽しみあれ。

最後に、余談になるかもしれないが…
あくまで個人意見として、今と昔じゃ、オチについて受け止め方が変わった。
昔だったら、あのオチは何か幸福感を感じた。
でも今十数年振りに見て、某刑事ドラマの某警部ならこう言うだろうとつい思ってしまう。

「あなた方の悲しみ、苦しみは充分お察しします。しかし、あなた方のした事は間違っています! ポアロさん、あなたもですよ」

近大