「かの名探偵もいささかパワー不足」オリエント急行殺人事件(1974) あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
かの名探偵もいささかパワー不足
1974年イギリス映画。128分。今年20本目の作品。言わずと知れたアガサ・クリスティーの同名推理小説の映画化作品で、監督はシドニー・ルメットです。イスタンブル―パリ間を結ぶ長距離豪華列車を舞台にした豪華共演陣で送る作品。
内容は;
1、イスタンブルでの仕事を終えた名探偵ポワロは、イギリスへの帰路にオリエント急行を使う。
2、列車の旅の最中、アメリカの大富豪が殺害される。
3、列車の中に乗り合わせた14人全員が容疑者となり、ポワロの推理が始まる。
残念ながら原作を読んだことがないので、その点で本作がどこまで脚色を加えているのか、または忠実なのか分りません。よって、本作の評価は本作のみで判断することになります。
アガサ・クリスティの作品といえば、やはり最後の謎解きが楽しいのですが、本作はそれに加えてルメット監督らしい社会性のある作品に仕上がっています。そして正直な感想としては、その社会派テイストが面白味を阻害していたと思いました。
列車の中での殺人とその犯行への経緯に隠された悲劇、そして犯人のやりきれない思い。その思いを名匠ルメット監督はしっかりとすくい取り作品に反映させる訳なのですが、そのおかげで終盤の謎解きの醍醐味があっさり描かれていた、というのがわたくしの印象です。
そこでがっかりすると、この物語全体に出来すぎた感があるような気にもなりました。でも、これは作品に力があればそこまで気にはならなかったとも思います。いつか機会があれば原作を読んでみようとは思いました。
やはり推理ものは殺人の動機に説得力があるように描かれなければ。
今回の事件はポワロ氏も楽勝だったと思います。
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