オリエント急行殺人事件(1974)のレビュー・感想・評価
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0091 判事の数は? トゥエルブ!
1975年公開
アガサクリスティ原作は意外な犯人を描く中でも
特に人気が高い。
それを紐ほどいてわかりやすく映像化するのは難しいが
シドニールメットそつなくこなす。
要因の一つがやはり出演者が重厚だと映画が締まるね。
二つ目はポワロにアルバートフィーニ―を持ってきた事。
最後に容疑者を集めて大演説をするのも似合う。
個人的にはショーンコネリーがポワロを挑発するように
ネタバレ寸前のセリフを発し、真相解明でそれを
繰り返さざるを得なかったところが好き。
ジャクリーンビゼットもひときわ美貌で出演。
あーそれとオリエント急行が出発するところも伴奏と
相まってゴージャス感出る。
75点
テレビ初鑑賞 1980年11月2日『日曜洋画劇場』
美女役ではないイングリット・バーグマンが素敵。
デビット・スーシェ演じるポワロの、ドラマ版「オリエント急行の殺人」を観た後に鑑賞。
アルバート・フィニーのポワロはスーシェのポワロと比べると、品がなく嫌らしい人物に見えてしまう。スーシェのポワロに慣れているので違和感を拭うまで少し時間がかかった。
構成はドラマ版の方が好き。犯人の意外性や、ポワロの心理描写が際立っている。
素晴らしかったのはイングリット・バーグマン。この作品での評価が高かったので一度観てみたかった。「ガス橙」のように、品行方正な美しい人物を演じることの多いイメージだったので、初めは彼女がどの役で出ているのか分からなかったほど。細かい演技で画面の外の人物まで表現されていたので驚いた。
ショーン・コネリーは相変わらずダンディで格好良い。
どこかで見たはず、と思った人物がどこかサイコパス臭を漂わせていて、記憶を辿ると「サイコ」のベイツ役の人だった。
イメージが覆る役者もいれば、どうしても初見のインパクトが拭えない役者もいて面白い。
古い映画だけにテンポはやや遅く感じるが、豪華キャストは見応えあり。
コネリー様がかっこいい。
2018版よりはこちらが好き。
最初に原作を読んだ時の衝撃はもちろんないので、あとはもう舞台設定や役者をどう見せるか、とか事件の明かし方、ポアロの決着の付け方とかなんだろうね。
12人の怒れる豪華俳優たちの私刑シーンに涙が…
もう何度観たか分からないこの作品だが、
たまたまイギリスTV版の
「オリエント急行殺人事件」を観たので
比較として改めて鑑賞した。
しかし、視点の全く異なる作品だった。
上映時間の問題もあるだろうが、
TV版ではアームストロング家関係者の
一人一人のプロフィールには
あまり重点を置いてはいない。
むしろ、犯人12人の心情への寄り添いと、
真実・社会的正義との狭間の中で葛藤する
ポアロの苦悩に焦点があり、
シリーズ最終回でのポアロ自らの私刑行為
との関連から判断すると、これも価値ある
「オリエント…」のように感じた。
さて、今回のルメット版の鑑賞、
これまで、これほど涙を誘われた事は
無かったような気がする。
犯してはならない行為と
理屈では理解するものの、
ポアロの聴き取りと12名による私刑のシーン
では、丁寧に描かれた犯人それぞれの
愛する人への想いが思い出され、
涙が溢れるばかりだった。
その後、
ケネス・ブラナー版も公開されたが、
全体構成や演出の上手さによる
作品の完成度、
そして、感情を揺さぶられるとの点では、
やはりこのルメット版が
一番ではないだろうか。
シドニー・ルメット監督には、
「十二人の怒れる男」「狼たちの午後」や
「旅立ちの時」等々、
たくさんの名作で楽しまさせて頂いたが、
改めてこの作品の完成度の高さに、
名作に浸ることの出来た喜びを感じる
鑑賞となった。
因みに、
私のシドニー・ルメット監督のベストワンは
「プリンス・オブ・シティ」です。
十二人の怒れる乗客‼️
おなじみアガサ・クリスティの有名ミステリーの映画化です‼️イスタンブールの駅でオリエント急行に乗るローレン・バコール、イングリッド・バーグマン、ショーン・コネリー、リチャード・ウィドマーク、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、ジャクリーン・ビセット、アンソニー・パーキンスたちオールスターキャストの顔ぶれが紹介される冒頭がワクワクする楽しさ‼️ピンと張った口ひげのアクの強い "小さな灰色の脳細胞" ことエルキュール・ポアロに扮したアルバート・フィニーも大熱演‼️ 「十二人の怒れる男」「ネットワーク」みたいな作品で多人数を捌くことに長けたシドニー・ルメット監督の演出も実に素晴らしい‼️この人にはぜひアベンジャーズの新作を撮って欲しかった‼️この豪華なオールスターの顔ぶれを見ていると、誰が犯人でも不思議ではないほど一癖も二癖もある顔ぶれ‼️だからこそ思わず納得のラストシーン‼️しかし「ロシアより愛をこめて」といい本作といい、ショーン・コネリーにはオリエント急行がよく似合う‼️
贅沢な名優たち
40年代から70年代までスクリーンを彩った美しい女優陣。バーグマン、ローレン・バコール、バネッサ・レッドグレーブ、ジャックリーン・ビゼット、それだけでも満足。加えて、アルバート・フィニーとマーチン・バルサムの掛け合いと、ショーン・コネリー、名優ジョン・ギールグッドに悪役ウィドマーク...
これだけの名優たちが一堂に会したキャスティングは作品として化石級。
さらにすごいと思うのは、これだけの配役を集めていながらコンパクトに2時間でまとめたシドニー・ルメット。原作の筋をきちんと整理して、要領よくまとめ上げる才能はやっぱりさすがのキレ味。シーンの一つ一つが丁寧で何度見ても飽きない。
主役ポアロに頼ったリメイク版よりは良いと思う。
横溝正史や火曜サスペン○劇場の元祖だろう。
原作を中学生の時読んだ。あまり、印象に残らなかった。『そして誰もいなくなった』を読んだ後だったので、犯人はすぐに分かった。原作者アガサ・クリスティの印象がこの小説で決まった。
アガサ・クリスティは横溝正史や西村京太郎系のミステリーで、僕はエドガー・アラン・ポーやコナン・ドイルや江戸川乱歩やエラリー・クイーンやヴァン・ダインの方が好きだった。
映画は
2回目の鑑賞。
何も語れない。
まぁ、物語の結末は知っていたが、監督の名前を知って『なるほど』と感心した。
火曜サスペン○劇場の元祖だろう。
経費かけすぎて全くもったいない映画だと思う。しかし、英語以外日本語に訳さないのは、イギリス映画に対する忖度なのか?それを考慮すると、それだけで、犯人が分かってしまう。
本の方が、謎解きを最後まで楽しめた
本を先に読んでいたが、映画ではポワロの尋問などから、全員犯人ではと思わせる。
本では、各尋問が終わるごとに、『こいつが犯人だ』と思わせた。
1人づつ死体をナイフで突き刺すシーンなどは、映像の方が印象に残る。
それにしても、この設定、ストーリー展開、アガサクリスティの名作ですね。
豪華キャストだが
豪華キャストだが、人数が多すぎて感情移入できる人が分散されてしまったためか、結局、誰にも感情移入できなかった。ただ、イングリッド・バーグマンとジャクリーン・ビセットが見られたのはよかったが。
被害者の体の刺し傷は12箇所あったことが遺体発見時に説明されるが、このシーンはなかった方が、犯人が明かされるときの面白さが倍増したと思う。
イングリッド・バーグマンやらジャクリーン・ビセットやら
豪華な列車で旅する中、ラチェット氏が殺された。死体の横には燃えた手紙。そこに書かれた文字を炙り出す方法が新鮮だったよ、ポワロ。a-i-s-y。かつてのアームストロング家の事件で殺された娘デイジーを思い出し、ラチェットが実行犯であると確信するポワロ。彼の秘書を尋問し始める。
結末がだいたいわかっていると、どうも面白くない。映画の作りにしてもポワロの喋りすぎの演出によって、嫌悪感も沸いてくる。元々が過去の事件の被害者とそれに関係する不幸を背負わされた人たち。独壇場となった推理演説が長すぎるため12人の乗客が行動を起こさないのも疑問だ。まぁ、列車が雪のためストップしているのでしょうがないのかもしれないが・・・
しかし、真相がわかったところで報告が大変ややこしい。12人の客が次々と復讐のためラチェット氏にナイフを刺していく光景は迫力があるし、ポワロが最後にとった決断には感動できる。だから余計に中盤までの演出の弱さが残念だ。
やっぱりポワロといえばこの見た目なんだよね。新しい方も見たはずなの...
やっぱりポワロといえばこの見た目なんだよね。新しい方も見たはずなのにポワロの印象がまったく記憶に残ってなかった。しかしながら、オチを知ってしまったがゆえに感動が半減。知らなかったら大いに混乱して楽しめただろうと思う。
オールスターキャストの登場(搭乗)シーンにはいつ観てもうっとりさせられる。
①オリエント急行が照明を付け、汽笛を鳴らし、車輪がゆっくり回りながら出発するシーンは、いつも「これからどんな映画の旅に連れていってくれるのか」と同じワクワク感がある。②最近の改悪リメークと比べると、今は本当に銀幕のスターと言える人達がいなくなったなぁ、と思う。
ルメット監督は娯楽作品を撮らしても一流であった
誰もが知る超ベストセラー推理小説が原作だから、当然お話の舞台も、筋書きも、犯人も、謎解きも、観客はもちろん全部頭に入って分かってる
それでも面白い
流石というしかない
観客は原作を読んだそれぞれのイメージ通りであるかを各シーン一々確かめながら観てしまう訳だが、監督の完全勝利だ
誰もが脳裏にイメージしたもの、いやそれ以上のものが映像となっているからだ
豪華俳優陣の名演、監督の演出、豪華列車を本当に再現した美術、俳優陣を演技を更に引き立てる見事な衣装
カメラも素晴らしい
特に駅に次々と登場人物が現れては列車に乗り込み機関車のライトが点き蒸気を吐いてゆっくりと進み出すシーンは最高の出来映え
そこにワルツのテーマ曲が被さっていく
敢えて機関車の騒音は無く、蒸気のシューという音だけが控えめにするのみ
この音楽が本作全体のムードを支配しており、華やかな国際列車での殺人事件を陰惨さから切り離している見事さ
謎解きシーンでのフラッシュバックで同じシーンが繰り返されるようで、実は違う撮り方で見せて違う印象で同じシーンを見せているのも効果的
何よりポアロ役のアルバート・フィニーの役作りと演技が素晴らしい
見事に原作の中のポアロが実体化している
撮影時30代だったというから、そのメイクは半端ない
終盤の謎解きシーンの長台詞は圧巻、もちろんそれに至る過程でのうざいポアロをこれもまた見事な演技で再現してみせている
あのイングリッド・バーグマンが、敢えて地味な女性役を演じてアカデミー助演女優賞を獲っているが、自分としては陰険なアメリカ女性役のローレン・バコールが良かった
厳つい表情での人物紹介シーン、殺人シーンで彼女の表情をカメラが捉え続けるシーン、ラストシーンの乾杯でみせる笑顔との落差が本当に素晴らしい心に残る名シーンだと思う
そして美しかった
本作の監督にシリアス派で知られたルメット監督が選ばれたのは、やはりほとんどのシーンが密室劇になるからであろう
もちろん彼の出世作は密室劇の永遠の金字塔「十二人の怒れる男」だからだ
そのプロジューサーの目論みは大成功しているばかりか、それ以上の成果を挙げている
何故ならルメット監督、娯楽作品を撮っても一流であったことを証明して見せたのだから
プロジューサーの眼力、ルメット監督の実力、名優達の熱演
名作になるわけだ
豪華密室…絢爛な演技合戦に魅了!
DVDで2回目の鑑賞。
原作は既読です。
"ミステリーの女王"アガサ・クリスティの傑作を豪華キャストで映画化。原作は驚愕の真相と賛否を呼ぶ幕引きが有名な名作であります。他のミステリー小説の巻末の解説か何かで、あまりにも有名な結末のためにトリックの比較などで引き合いに出されたりして、普通にネタバレが書いてあったりするほど…
雪崩のために立ち往生したオリエント急行の車内で殺人事件が発生。被害者は全身を滅多刺しにされ、寝台で息絶えていました。偶然乗り合わせていたエルキュール・ポアロは、12人の乗員・乗客たちの証言を元に真相に迫ろうとしますが…
"灰色の脳細胞"を誇る名探偵ポアロ―
身だしなみに気を遣い、謎に対して真摯な態度を崩さない。神経質だけど明晰な頭脳を持つポアロを、アルバート・フィニーが繊細な演技で演じていました。
イングリッド・バーグマンをはじめとした屈指の豪華キャストが揃えられ、名優たちが織り成す演技のアンサンブルが、深みのある人間ドラマを生み出していました。単なる推理物で終わらない悲劇の物語を彩っていました。
それぞれの証言を比較検討し、時系列を整理して真相を導き出そうとする過程がスリリングでした。面談シーンはまさに演技合戦の様相でハラハラさせられました。
ひとつひとつの証言は一見筋が通っているように思えて、その実上手いくらいに揃い過ぎているのではないか…? そこが事件解決のための取っ掛かりとなりました。
あまりにも奇抜な真相のため、人によっては賛否が分かれるところではありましょうが、見事な着想と、正義そのものの概念を揺さぶって来る動機など、一筋縄ではいかない魅力に溢れていて、原作共々とても好きな作品です。
[余談]
容疑者は12人―
同じシドニー・ルメット監督作品「十二人の怒れる男」の陪審員と同じ数なので、その符号がまた面白いなと思いました。
※修正(2021/06/19)
良心と一騎打ちをしよう
映画「オリエント急行殺人事件(1974)」
(シドニー・ルメット監督)から。
新作の「オリエント急行殺人事件」を映画館で観てから、
まず図書館で本を探して一気に読み直し、
それでももの足りなくなって、本作をDVDで鑑賞し直した。
書籍でも、映画(新・旧)2作品でも、
「まだだめよ、全てが過去のことになってから」という台詞が
解決の糸口になっているのは、変わらなかった。
今回選んだのは、無事、殺人事件を解決したあと、
事件の顛末を警察に報告しなければならないのだが、
私立探偵エルキュール・ポアロは、こう呟く。
「警察の立場で考えるならば、第1の方法が喜ばれるだろう。
では警察への報告を苦心して作文し、良心と一騎打ちをしよう」
この殺人事件を、彼は最後どう処理するのか、
とても興味があるシーンだったので、印象に残った。
またこういった結末は、ストーリーの関係無いのか、
監督独自の発想なども加えられる部分として理解した。
原作の書籍も、新旧の映画作品も、少しずつ違っていて楽しめる。
この比較を楽しむのも、映画の醍醐味かも知れないな。
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