暴力の港 虎と狼
劇場公開日:1965年10月30日
解説
火野葦平の原作を「続・柔旋風 四天王誕生」でコンビの本山大生と松村楢宏が脚色し、元新東宝監督の土居通芳が監督したアクションもの。撮影は本田茂樹。
1965年製作/84分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1965年10月30日
ストーリー
戦後の混乱期、小さな港町に君臨する暴力団、通称ハマトラこと浜中虎吉は戦後の新興勢力として港随一の勢力を誇っていた。そしてこの勢力に対抗するのが、昔ながらの仁義を守って鳴りをひそめている塩辰こと塩田辰五郎だった。ハマトラは参謀格の野々木大作と塩辰打倒を計画していた。そうしたある日、ハマトラの娘ミネは、部下の竹下太郎、次郎らに命じて貨物船の積荷を略奪しようとした。が、これは塩辰の代貸し安住健次の出現によって失敗に終った。健次はかつて特攻隊員として国のために若い生命を捨てることを惜しまなかったが、敗戦のショックはあまりに大きく、生きる目的を失い、虚無的な気持で復員した。健次は、すさんだ明け暮れを重ねるうち塩辰一家に身をおくようになったのだった。健次の登場は、男嫌いで通して来たミネの心に微妙な変化を与えた。そうしたある夜、拳銃を手土産にやくざ志願の青年波切剛がハマトラ一家を訪れた。剛もまた特攻隊の生残りで、少年航空兵時代は健次とは師弟関係にあったのだった。その頃健次は、かつての恋人夏江を訪れ、五年ぶりの邂逅をなつかしんでいた。これを知ったミネはどす黒い嫉妬の炎を燃やし、自分の体を代償に大作をケシカケ、夏江を暴力で犯させた。これをあばこうとした新聞記者高瀬は、眼をえぐられ重傷を負った。一方の剛は、教会で一人オルガンを弾く娘田代光子に魅かれていったが、光子に水産試験所に勤める恋人伊吹がいるのを知り、さびしく光子から離れていった。その頃、塩辰一家の人気者サブが、ハマトラ一家によって惨殺された。つもりつもっていた健次の怒りは爆発し、健次をはじめとする塩辰一家は、ハマトラ一家と対決した。激烈な市街戦の末、健次は大作を倒した。しかし、みのらぬ恋を無理心中で果そうとしたミネの銃弾に健次も息絶え、ミネも死んでいった。無頼の徒は全滅し、町はまた静けさを取りもどした。