愛・その奇跡
劇場公開日:1964年12月12日
解説
野中晃治原作“奇跡の妻”を、寺島アキ子が脚色「こちら婦人科」の田畠恒男が監督した女性ドラマ。撮影はコンビの上田浩。
1964年製作/95分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1964年12月12日
ストーリー
永田晃一と野村雅代は、お互いに慰安旅行に出かけた旅先の温泉地でめぐりあった。ちょうどこの温泉場に台風が襲い、濁流にのまれようとする雅代を助けたのが晃一であった。その日から数年、東京でお針子をする雅代の所に、晃一がつぶれた会社の整理品をもって現われた。奇遇を喜びあった二人は、郷里が同じ九州であることや、楽しい青春の夢を語って励ましあい、いつか愛情が芽生えた。二人だけの結婚パーティーをして、二人は新しい生活に入った。しかし、東京の激しさは若い二人には厳しく、二人はついに長崎で平和な生活を営んだ。希望に満ちた年は明けたが、晃一の就職口はなく、遂に雅代は馴れぬキャバレー勤めを始めた。そして晃一も作業員や、電話消毒器のセールスで、人生に真剣にたちむかった。貧しいが、二人がしっかり支えあった日々が続いた。そんな時雅代に事故が襲ったのだ。奇しくも晃一と雅代が知り合った同じ十月七日、雅代はライトバンにはねられ、脳内出血と両手の複雑骨折の重傷を負った。患者の運ばれた十仁病院では、岩谷外科部長の尽力があってか、雅代は奇蹟的に一命をとりとめたが、昏睡状態は依然として続いた。まもなく、雅代が妊娠していることが発見された。六カ月の身おもは、すでに中絶することも出来ず、胎児は正常に発育していた。異例の合同会議の末、晃一の強い要望もあり、病院側は医学のすべてを賭けてこの出産にあたった。そして、晃一の願いで医師、看護婦に見守られながら、ベッドの上で正式な結婚式を挙げた雅代は、四月十日の夜、その同じベッドの上で昏睡状態のまま、女児を出産した。この愛の奇蹟を支えた医師と看護婦、病院周辺の善意の人々に見守られて、雅代は無意識にそのみどり児を抱いて、闘病生活を送っている。