肉体の学校(1965)のレビュー・感想・評価
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岸田今日子の純情
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上映時間がたまたま合って観に行っただけなんだけど、とても面白かった。場内満員。ソフト化されてない佳作ということで人気が高いのかなあ。
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1965年製作。原作は三島由紀夫。
お金持ちの年増女がツバメを囲って…というストーリー。
「肉体の〜」というタイトルに反して、あんまりエロくはない。岸田今日子主演ではなく、これが例えば若尾文子とかだったら同じ内容でももの凄くエロくなってただろうなあと思う。
金持ちのイヤらしさもなく。前半の岸田今日子の純情っぷりが可愛い。岸田今日子といえば『秋刀魚の味』の風格ある1シーンをどうしても思い出してしまうが、それよりも後に撮られた作品なのにオボコくて可愛い。意外だった。
邦画って「金持ち」「上流階級」を無理して描くと途轍もなく貧乏くさくなる時があるが、岸田今日子は貧乏くさくなくてノーブルでとても良い。
肚の読めないジゴロ役山崎努も青臭くて、いい。
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コントラストのきついモノクロ、極端なクローズアップ&ズームアウトなどなど、映像がものすごく技巧的でペダンチック。技巧的なところが原作の三島とも合っていると思う。
技巧的、実験的だと、鼻持ちならない感じになりがちだけれども。
「いろんな技法を取り敢えずやってみたかった」というような、若々しさ、清々しさに満ちている。その若々しさが、岸田今日子の純情ともマッチしていて、すごくいい。
ラスト、純情が、恋の終わる残酷さへと転化する潔さも良し。
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同じ原作の『肉体の学校(1998年フランス版)』(主演イザベル・ユペール)も、ぜひ観てみたいなあと思った。
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