虹をつかむ踊子
劇場公開日:1963年9月20日
解説
「裸体」の監督成澤昌茂が原作・脚色、「湖愁」の田畠恒男、中園みなみが共同執筆、田畠恒男が監督した青春明朗ドラマ。撮影は、上田浩があたっている。
1963年製作/98分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1963年9月20日
ストーリー
渡辺田鶴子は両親の死後、単身上京し看護婦見習いとして働いていたが、彼女の夢は国際劇場の踊り子になることであった。ある日、国際劇場に出入りする、「松葉ずし」の主人小川源吉に、誰かスターを紹介して欲しいと頼みこんだ田鶴子は、源吉の好意にあまえて、出前持ちとして働きながらチャンスを待とうと、源吉の店に引っ越して来た。源吉の家は妻の梅子と娘のみちる、それに孤児でありひきとられて職人になっている山田正平と見習職人佐藤初子がいた。源吉のすすめで、女剣劇や舞台を観劇するたびに田鶴子は芸の難しさにぶつかった。一家の人々に励まされ練習に励んだ末、田鶴子はついにSKDの試験にパスした。そんな或る日、練習のために足をいためた田鶴子は、昔働いていた病院に行き院長から、源吉の秘密を知らされた。彼は白血病で絶対に助からないというのだ。本人はそれを誰にも内緒にして浅草の街を愛し、人の世話をしているのだ。そんな彼を妻の梅子とみちるは“人が良すぎる”と叱るのだった。こうした時、初子は握りずしコンクールで見事努力賞をいとめ、一家を喜ろこばせた。しかしそれもつかの間、源吉は倒れた。これをきいた国際劇場の幹部スターはせめての恩返しにと田鶴子をラインダンスの指揮者役に一日だけ抜擢すると約束した。「四ツばいしてでも見る」といった源吉も田鶴子の舞台を目にうかべながら息をひきとった。亡父の灯篭流しの夜みちるは、源吉の実の子でなかった事を知り、自分の我侭を悔いた。数日たった、故郷へ錦を飾る初子、情熱を舞台にかける田鶴子、自動車のセールスにはりきるみちる、すしを握る正平、源吉の善意に育てられた若者達の前途は明るかった。