残月大川流し

劇場公開日:

解説

小島政二郎原作“おこま”より「真田風雲録」の加藤泰が脚色。「ひばりのおしゃれ狂女」の佐々木康が監督した人情ドラマ。撮影は「十七人の忍者」の鷲尾元也。

1963年製作/85分/日本
配給:東映
劇場公開日:1963年9月8日

ストーリー

将軍が江戸を追われ、薩長土肥の連合軍が、わがもの顔に市中を闊歩しはじめた慶応四年のこと。日増しに高まる彼等の傍若無人さに、江戸市民は反感を抱いていた。なかでも、むささび一家の娘スリ師、隼のおぎんは、仲間のおもん、庄吉らと共に、官軍士官の懐を次々と狙い溜飲を下げていた。折も折、むささび一家に、町方勘兵衛の案内で天野八郎と部下の村上新三郎らが訪れ、官軍士官の肩に輝く錦切れをスリ取ってくれと頼み込んだ。女親分おりきはこれを稼ぎにならぬと断るが、おぎんは、一人かくれて錦切れをスリ取り始めた。そうしたある日官軍と彰義隊との一戦が上野で始ったが、武器の揃った官軍には歯が立たず、彰義隊はもろくもやぶれ去った。重傷を負った村上は、捨て子のおみよを連れて、おぎんの住いにころがりこんだ。二人の世話を焼くおぎんの顔に、幸せそうな微笑が見えた。おぎんは遂にスリから足を洗う事を決心したのだ。ちょうどこの頃、おみよの親を探すために「納涼演芸大会」を開くことになった。無事、親子対面なったおみよを前に、得意の歌を披露するが、突然あがった「スリだ!」の声に、おぎんは町方勘兵衛に追われた。おぎんの前身を知った村上は去っていった。そして数日維新の動乱も終局を告げ、江戸は東京に、年号は慶応から明治と改まった。東京を脱出した村上は函館の榎本軍へ参加する計画を練っていた。一方、一家に戻ってくれと頼む仲間を振りきったおぎんは折から村上らを官軍が襲う事を耳にしたのだ。官軍隊長の官舎に忍び入り、村上の結集場所を知った。急をつげに走るおぎんの顔に孤独の影は消えていた。おぎんの知らせに村上は救われ、二人は未来を誓った。

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