「階段にて」伊豆の踊子(1963) Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
階段にて
はち切れそうな吉永小百合。お風呂に飛び込み、子供と興じて子供性を発揮する。ばったりと出会う十朱幸代。周りの子供達が語る残酷な会話。生死に引き込まれる小百合は人生を考える。蜘蛛の糸のように目の前に垂れ下がる高橋英樹。手繰り寄せる術などないが摂理によって自然と引き寄せる。大人の話に聞き耳をたてて無心に答えを求める。ここが分かれ目と悟り、姿を隠す。別れの場面で自分に押し潰されそうになる。しかし健気に踊る。
アイドル映画らしく女性の心象に寄り添った話に転換した脚本の妙。しかし語り部はその思い出に浸る男自身。妄想も入り混じる女性のストーリーを心に置いて甘酸っぱさをいつまでも舐り続ける男。吉永小百合は見事にそれに応える。
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