どん底だって平っちゃらさ
劇場公開日:1963年3月27日
解説
宮内婦貴子のオリジナル・シナリオを「十代の河」の森永健次郎が監督した社会ドラマ。撮影は「歌う暴れん坊」の萩原泉。
1963年製作/46分/日本
配給:日活
劇場公開日:1963年3月27日
ストーリー
亮太の家は土間と六畳一間のアバラ屋だ。貧しくたって亮太はへいちゃら、妹の京子にとってもいいお兄ちゃんだ。だが亮太の胸を痛めるような事件がおきた。父親が女と駆けおちしてしまったのだ。母親の初恵が日やとい労務者になって港に出るようになると京子は亮太について学校にいき、終業になるまで遊んでいた。隣人の矢田は事情を知り初恵に再婚をすすめた。初恵は再婚を考えなかったが、矢田に説得され、再婚した。新郎は文次といい戦争で片腕を失くしていた。初恵は文次の子をみごもった。だが、初恵は産後のひだちが悪く死んでしまった。文次は生れた子紀年を嬰児施設へあずけた。亮太は京子を連れて屑鉄をあつめ紀年に会いにいった。文次はそんな亮太を可哀そうに思ったがどうにもならなかった。ある日文次は自動車にはねられた。病院に見舞いにいった亮太と京子は、車の持主である大学生沖田耕二に家まで送ってもらった。バラックをのぞいた耕二はあまりの貧しさにおどろいた。耕二は父親と相談して亮太を引取って育てようと決心した。だが、矢田は仲の良い兄弟をひきはなすことに反対した。しかし、亮太の教育問題がむしかえされ、亮太を耕二の家にあずけることになった。それを知った亮太は狂気のようになった。亮太は京子をつれてさまよい歩いた。数時間後、彼らの姿が九階建のアパートの屋上で発見された。危険をきいて警官がかけつけた。だが人影をみると亮太は京子を抱いて金アミによじのぼり、飛びおりる姿勢をみせた。「もう家には帰らないぞ。いつまでも兄ちゃんいっしょにいような」二人はしっかりと抱きあっていた。