ひばりの母恋いギター
劇場公開日:1962年8月12日
解説
「サラリーマン一心太助」の鷹沢和善が脚本を執筆、「白い熱球」の佐伯清が監督した歌謡メロドラマ。撮影は「佐久間・大空の恋愛学校」の三村明。
1962年製作/83分/日本
配給:東映
劇場公開日:1962年8月12日
ストーリー
温泉街の灯の下、ギターを弾きながら唄い歩く流しの娘、君江は病身の母お俊を助けて健気に働いていた。ある晩、旅館玉屋の客、百合、梢、由美の姉妹にせがまれ“母さんギター”を唄う君江に、姉妹の母美子の無思慮な雑言。旅館の仲居お玉のとりなしで彼女は涙をぬぐうのだった。夜の街をギターと共に往く君江は、ある夜、食い逃げして捕えらた幸吉という若者を救った。君江は、気のいいバーテン有作から想いを寄せられていたが、借金をたてに、よこしまな恋を迫る土地の顔役長岡に悩まされていた。そのころ、玉屋に着いた百合たちの父志村良平とは、まぎれもない、二十年前お俊母子の許を去った良平であった。お玉の注進に呆然とするお俊。良平の帰京の日意を決して彼を追ったお俊は、列車の去ったホームに倒れた。母の告白と死、傷心の君江は瞼の父良平を求めて上京するのだった。しかし、今は一流の料理店“志村”の主人である良平は、君江を冷く追い返した。養子の彼は妻美子に頭が上らなかったし、都会議員の選挙を控えて、過去の発覚を怖れたのである。君江は偶然に出逢った幸吉の許に身を寄せることにした。その幸吉は良平の苦悩を知ると百万円のゆすりを働いた。だが幸吉が札束を手にした時、良平の対立候補と結託した長岡が現れ、百万円を奪い去った。逃れ帰った幸吉と、上京してきた有作の制止も聞かず、君江は長岡のもとへ駆けつけた。百万円の返済を迫る君江に、卑劣な長岡は暴力で襲いかかった。激しくもつれあううちに長岡が昏絶していた。動転して、海に身を投げようとする君江を、その寸前、有作に伴われてきた良平がしっかりと抱きかかえた。「お父さん!」「君江!」たがいに呼びあう二人の姿を有作が、そして今は事情を知った美子が、三人の姉妹が、やさしく囲んでいた。