劇場公開日 1962年6月24日

雲右衛門とその妻のレビュー・感想・評価

全1件を表示

4.0富士より高いものってなんだか知ってるかい?それは雲だよ。

2019年11月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

浪曲(玉川奈々福・曲師沢村豊子)とのコラボで鑑賞。

明治なってから生まれた芸能、浪花節。今でいう浪曲。中興の祖と言われる桃中軒雲右衛門と、その妻お浜。現実の桃中軒の肖像は残っていて、これまた男前だが、どこか山師にも見える。由比正雪はこんなんじゃなかったか?と思わせる風貌だ。
二人のいきさつからその全盛までを描いたこの映画、「浪花節」を地で行く、人情味あふれるその生き様。演じる三波春夫自身が浪曲師だっただけあって、いやあ節回しがうまいこと。声もいい。面構えもいい。桃中軒とは変わった名だなと思っていたが、旅廻りのときに情けをかけてもらった弁当屋の屋号だったとは知らなかった。その謂れさえもまた泣ける。逃げた女房との再会の場面もまた泣ける。情け、情け、情け、情け。情けばかりの人生。だけど、決してへりくだらず、弱音も吐かず、自分の芸を高めていこうという向上心は捨てたりしない。実に男っぷりがいい。
当時の小屋や寄席の雰囲気もまたよし。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
栗太郎