男度胸のあやめ笠
劇場公開日:1962年6月24日
解説
小説倶楽部所載、結束信二原作・脚色から「きさらぎ無双剣」の佐々木康が監督した股旅もの。撮影は「あべこべ道中」の松井鴻。
1962年製作/86分/日本
配給:東映
劇場公開日:1962年6月24日
ストーリー
幼い頃生き別れになった妹を尋ね三年振りに潮来の土をふんだ千鳥の安太郎は、笹川一家の用心棒平手造酒を知った。安太郎は以前に泊った四ツ手屋に宿をとった。番頭の弥平から、宿の親爺が去年死んだことを聞かされ、安太郎を舟で案内した新吉という若者がここの跡取りと聞かされ驚いた。その晩安太郎は親爺の仏前に座るおりんという美人と知り合った。翌朝、安太郎は、潮来の土地が笹川と飯岡の勢力争いで平和をかき乱されていることを知った。土地の長者丸藤屋長兵衛はこれを心配して、及ぶ限りの努力をしていた。安太郎は妹を尋ねて廻り、再びおりんに会った。二人は何かしら心ひかれるものを感じた。だが、四ツ手屋に帰った安太郎は、弥平から丸藤屋がおりんを後添いに希んでいることを聞かされた。四ツ手屋の新吉はヤクザに憧れ、恋人のお咲の家が、昔勢力富五郎の地主だったつながりを求めて、富五郎の家に足を運んでいた。そこへ、平手造酒が安太郎を呼びに来た。連れて行かれたのは浮島の茶店で、目明しの勘五郎が待ちうけていた。安太郎が飯岡の助ッ人になって助五郎を斬り、平手は笹川の用心棒になって繁蔵を斬り、両家の縄張りを三人で分けようというのだ。安太郎はこの申し出を断った。これを知られてはと、勘五郎は安太郎を闇打ちにしようとしたが、逆に斬られてしまった。そんな頃、笹川方では造酒を自分側の用心棒に引きとめておくため、お咲を造酒に差し出そうとしていた。草鞋をはこうとする安太郎におりんは自分も一緒に連れていってくれと頼んだが、おりんの幸福を願って安太郎はすげなく追返すのだった。そこへ新吉が、お咲を取り返すのだと刀を持ち出し、弥平と争っていた。安太郎はそれを知って、笹川方に駆けつけた--。決闘に造酒を倒した安太郎は、お咲を新吉に渡し、潮来を風のように去っていった。