権九郎旅日記(1961)
劇場公開日:1961年12月6日
解説
田岡典夫原作『権九郎旅日記』より、「暴れん坊一代」のコンビ結束信二と高橋稔が共同で脚色。「花のお江戸のやくざ姫」の工藤栄一が監督した喜劇時代劇。撮影は「ちゃりんこ街道」の松井鴻。「素浪人五十三次」から改題。
1961年製作/89分/日本
配給:東映
劇場公開日:1961年12月6日
ストーリー
杉本権九郎は帰参の願いが叶って土佐から江戸まで二百五十五里の浪人最後の一人旅をのんびりと続けていた。茶店で権九郎は美人をはさんだ三人連れの出て行った後、縁台に「たすけて」と水文字で書いてあるのを見つけて後を追った。この三人が西国の街道筋で名高い女盗白狐おこんとその手下安吉と駒吉と知って権九郎は怒った。その強いこと、おこんは彼を狙う決心をした。権九郎はまた色っぽい女に声をかけられたがその手にのるものかとど鳴りつけたところ、宿屋の若奥様だったので宿は断られるし自分が足を挫くやら散々の権九郎だった。また迷い子をみつけて飴を買ってやったり母親にあわせて胸をなで下す権九郎を物蔭から見つめるおこんは滅法強い反面人の好い権九郎に惚れてしまったようだ。日暮の街道で権九郎は陣痛に苦しむ尼春妙を見つけて仰天しお松の家に飛びこんだが、夜這いの男と思われ天秤で殴られたりその後も春妙尼の亭主と間違われたりしたが、彼はなにがしかの金を置いて春妙を励ますのだった。権九郎はまた茶店で美人に同道を頼まれたが、出てきたのは美人の知合の婆さんで、旅侍にひやかされながら沼津の宿場へ送った。婆さんは土地のやくざ大黒一家の若い者が飲んだ酒代を取り立てようとしたが、一家が払わないので怒った権九郎は、親分鬼吉を叩きのめし利子付で金をとってやった。小田原を過ぎて権九郎は雷雨で気を失った姫を助けた。これが間違いのもとで権九郎はこの由利姫の駆落の相手と間違われ駿州田中藩本多家の本陣に連れて行かれた。家老甲斐は権九郎を食客にし将来は姫の婿にしようと考えていた。権九郎は帰参が叶ってもとの碌高百八十五の半分九十石、本多家は四万石、しばしの間望外の夢をみた権九郎だが、人間すべて身分相応が一番正しい道だと姫にいいきかせ、はればれと本陣を出て行くのだった。浪人最後の一人旅を楽しんだ権九郎が江戸屋敷の門をくぐろうとした時、必死に走りよったのはいうまでもなくおこんだった。だがこの時藩邸から同僚が迎えに来て権九郎の姿は屋敷の中に消えていった。