銀座のぼんぼん

劇場公開日:

解説

長瀬喜伴と樫村三平の共同オリジナル・シナリオを「薔薇と拳銃」の瑞穂春海が監督した下町もの。撮影は「女房学校」の中川芳久。

1961年製作/91分/日本
配給:大映
劇場公開日:1961年9月15日

ストーリー

銀座かいわいでは老舗のシダシべんとう屋の「べん金」の女主人らくは陽気でモダンなおばあちゃん。息子の大吉を立派な小説家にしたてようと毎日お稲荷さんに願をかけている。だかららくにとって「べん金」ののれんを大吉につがせる意志など毛頭もない。それというのも奥穂高で遭難した大吉の兄一郎の未亡人道子がかいがいしく「べん金」のいっさいをきりもりしているからでもあった。そこで大吉は毎日のように作家修業と称してはおじの新平と夜の銀座を社会勉強に余念がない。しかしそれはらくが娘時代に初恋をした作家長井仁風の夢を大吉に託している新平の妹らくへの思いやりからであった。小説家になるためのことなら、らくは何でもいうことをきくので二人はしばしば軍資金をねらっては新平のいきつけのバー「アルゴ」にかよった。銀座のぼんぼん大吉はその店で芙美という一風かわった、女給という職業などを感じさせない近代娘の彼女にすっかり熱をあげてしまう。しかし新平にそそのかされて、こんな事になったのを大吉は秘かに苦しんでいた。いくら親孝行とはいいながら、純すいな母の夢を裏切ることは彼にとってはつらかった。そして自分の意志などまったく無視して働く義姉の道子を何とかして新しく再出発させることを大吉は真剣に考えていた。特に兄の一周忌が近づいたある日、義姉が尾崎に秘かに好意をよせていることを知って、大吉は「ヨシ、俺はどうしても義姉さんを再婚させなければ」と誓った。それにはまず大吉自身が「べん金」の後つぎにならなくてはならない。彼は意を決して料理学校に入学した。そしてそのそばには芙美の懸命に勉強する姿があった。こうしてついにらくをくどきおとした大吉は道子と尾崎の結婚を認めさせた。尾崎がいるアメリカへ道子がたつ日、芙美の恋人石田が青い目のお嫁さんをつれて帰ってきた。大吉は芙美に彼の助手にならないかとすすめた。しばらくたって「べん金」を明るくきりもりする大吉と芙美の姿がみられた。

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