あゝ野麦峠
劇場公開日:1979年6月30日
解説
明治中期、長野県岡谷市にある製系工場に、岐阜県飛騨地方から野麦峠を越えて働きに出た少女達の姿を描く。昭和四十三年に発表された山本茂実の同名小説を映画化したもので、脚本は服部佳、監督は「皇帝のいない八月」の山本薩夫、撮影は「曽根崎心中」の小林節雄がそれぞれ担当。
1979年製作/154分/日本
原題または英題:Nomugi Pass
配給:東宝
劇場公開日:1979年6月30日
ストーリー
明治三十六年二月、飛騨から野麦峠を越えて信州諏訪へ向かう百名以上もの少女達の集団があった。毎年、飛騨の寒村の少女達はわずかな契約金で製糸工場(キカヤ)へ赴く。河合村のみね、はな、きく、ときも新工として山安足立組で働くことになっていた。途中、ゆきという父無し子の無口な少女も一行に加わった。明治日本の富国強兵のための外貨獲得はこのような工女のか細い手に委ねられていた。三年後みねは一人前の工女になっていた。取り出す糸は細く一定で光沢がなければ輸出用にはならず、毎日の検査で外国向けにならない糸を出したものは、みんなの前で検番から罵倒され、一定基準に合格しない場合は当人の給金から罰金が差引かれた。ときとはなは劣等組、みねとゆきは、社長の藤吉から一目おかれるほどの優等工女で、跡取り息子の春夫もそんな二人に関心を抱いていた。大日本蚕糸会の総裁伏見宮殿下一行が足立組を訪れた日、劣等工女のときが自殺した。やがて正月がやってくると、各工女達は、一年間の給金を懐に家に帰るが、ゆきには帰る家がなかった。ひとりぼっちの正月の寂しさと、みねをライバル意識していたことから、ゆきは春夫に身をまかせるのだった。ある日、金庫の金が紛失し、帳付けの新吉は藤吉に嫌疑をかけられる。新吉を慕うきくは見番頭に相談するが、小屋に連れ込まれて手籠めにされ自暴自棄になった彼女は小屋に火をつけ、新吉とともに天竜川に身を沈めてしまった。旧盆で工場が休みになると、工女達は束の間の解放感に浸り、いくつかのロマンスが生まれる。はなは検番代理にまで昇格した工女達の唯一の理解者、音松とこの夜結ばれた。ゆきは春夫の子を宿していたが、春夫には許婚がおり、彼女は妾になるのを嫌い、春夫から去って、一人子供を育てようと野麦峠を彷徨っているうち流産してしまう。四十一年アメリカに不況が訪れ、生糸の輸出はとまってしまうし倒産から逃れるには国内向けの生糸を多く生産しなければならず、労働条件は日ましに悪化した。そんな中、みねは結核で倒れた。病気の工女は使いものにならず藤吉はみねを家族に引き取らせるのだった。知らせを受けた兄の辰次郎は夜を徹してキカヤに駆けつけた。物置小屋に放り出されて衰弱しきったみねを背負って、辰次郎は故郷に向かった。秋、野麦峠は燃えるような美しい紅葉でおおわれていた。みねの前で、涙でかすむ故郷が広がっていた。「兄さ、飛騨が見える」それがみねの最後の言葉だった。みねは永遠の眠りに入っていくのだった……。美しい飛騨は何も語らず、みねを見つめていた。
スタッフ・キャスト
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政井みね大竹しのぶ
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篠田ゆき原田美枝子
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三島はな友里千賀子
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庄司きく古手川祐子
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平井とき浅野亜子
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久保えい岡本業利
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杉山みつ黒川明子
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荒井たみ志方亜紀子
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山村さわ今村文美
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足立春夫森次晃嗣
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野中新吉山本亘
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川瀬音松赤塚真人
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政井辰次郎地井武男
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お助け茶屋の老婆北林谷栄
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足立藤吉三國連太郎
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足立とみ斉藤美和
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黒木権三三上真一郎
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金山徳太郎小松方正
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政井友二郎西村晃
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政井もと野村昭子
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政井菊五郎渡辺由光
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石部いわ中原早苗
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木谷やえ津田京子
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井上まさ采野圭子
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松本さだ石井くに子
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丸正の検番江幡高志
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山安の守衛長浜藤夫
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きくの父親福原秀雄
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伏見宮殿下平田昭彦
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伏見宮妃殿下三条泰子
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工女伊藤智恵子
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工女住吉由美子
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工女上田三津子
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工女尾曳伊都子
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工女神谷ゆり
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工女中野遊
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工女磯部稲子
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工女遠藤明子
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工女大竹めぐみ
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工女横部薫
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工女鮎川恵
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工女新井梨枝
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工女森田元子
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工女北構みな子
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工女坂井孝子
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工女剣持光子
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工女岡本洋子
受賞歴
第3回 日本アカデミー賞(1980年)
受賞
音楽賞 | 佐藤勝 |
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