「30代の青春モノ」犬神家の一族(1976) lotis1040さんの映画レビュー(感想・評価)
30代の青春モノ
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印象三つまでと言われて三つに収まらない感じがしたのでひとつに絞りました。
犬神家の一族は、石坂金田一の最初の作品だったと思います。
わたしはもうひとりの有名な人よりもこちらのほうが金田一として好きです。
それはあのとぼけた感じとかポンコツ感などが爽やかに伝わってくるからだと思っています。
金田一耕助は私の知る限りかなりのポンコツ探偵です。
それは原作でも一緒で、死体にびっくりして腰をぬかし、未然に防がなければならない殺人やそのトリックなどを終わってから「なんで僕はこんな大事なことにきづかなかったんだ」とかなんとか言いながら慌てふためきます。
シャーロック・ホームズなんかとは好対照です。
そこに青年としてはいささか年を重ねすぎた30代の遅い青春を過ごす金田一自身の魅力がそこはかとなくにじみ出る。
石坂浩二もこのとき30代です。
この事件のときの金田一を演じるにはちょうどいい年齢です。
20代というのを右も左もわからないまま駆け抜けて、たどり着いた30代。
小さな町の大きな事件に巻き込まれながら、そのユニークなキャラクターで最後には人気モノになる金田一。
しかし、彼は人知れずその小さな町を離れてしまいます。
この映画を見るまで一番好きで最高な石坂金田一は病院坂の首縊りの家だと思ってました
今でも一番好きはそっちですが、この作品が石坂版金田一の最高傑作ではないかと思っています。
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