「日本ミステリーの金字塔的作品。」犬神家の一族(1976) といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
日本ミステリーの金字塔的作品。
『犬神家の一族』といえば、名探偵金田一耕助が活躍する横溝正史の有名小説です。誰もが名前を聞いたことがあるとは思いますが、「どういう話だった?」と聞かれてちゃんと答えられる人は意外と少ない気がします。
私自身、本作に対しては「なんかスケキヨってキャラクターが池の中で逆立ちしてる話でしょ」という薄くて歪んだ認識をしていたので、その認識を正すためにも、今回初めて鑑賞いたしました。
鑑賞した感想ですが、長く愛される作品だけあって非常に楽しめました。石坂浩二さん演じる金田一耕助はキャラクターが立っていて、ちょっと抜けたところもありつつ鋭い観察眼と推理力で魅力的なキャラクターでしたし、それ以外のキャラクターも個性的で面白かったです。また、現在でも活躍しているベテラン俳優が数多く出演している作品で、先述の石坂浩二さんの他にも草笛光子さんや島田陽子さんなどが出演しています。現在の落ち着いた印象からは想像もつかないようなアクティブでフレッシュな彼らの演技は、一見の価値ありです。
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日本の製薬王と言われた、犬神財閥の創始者・犬神佐兵衛が病死する。彼の莫大な資産の分配について記載された遺言書は犬神家の顧問弁護士・古舘が預かり、親族全員が集まってから内容を発表することになっていた。古舘の助手を務める若林は遺言書の内容から犬神一族の不吉な争いを察知し、卓越した推理力で知られていた金田一耕助へと助けを求めるのだった。
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あらすじから見てもわかる通り、実にオーソドックスで王道のミステリー作品です。登場人物全員に動機があり、みんな怪しく見えてしまいます。佐兵衛は、このような争いが発生することを予見して遺言書を残しており、様々な事件が発生する。人間の愚かさや闇の部分を見事に描き切ったミステリー作品ですね。本作は1972年6月に発刊された作品なのでこのレビューを書いている時点でちょうど50年前なんですが、全く古臭さは感じませんし、今のミステリーに多大な影響を与えていることが感じ取れる内容です。
長く愛された日本のミステリ映画。たまにはこういう往年の名作を観てみるのもいいかもしれません。オススメです!!