「昭和の大女優の競演」犬神家の一族(1976) とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
昭和の大女優の競演
松子・竹子・梅子のこの風格なしには、陳腐な映画になってしまう。
上品さ・気品を圧倒的にかもしながらも、成金のいやらしさもまき散らす。
この三人との対比で、清楚で上品なのだけれど肩身の狭い珠世が、天女のように際立つ。
その間をとったような小物感を見せてくれる小夜子。
よく考えると、この一連の事件では、最も割に合わない処遇を受けている人で、かわいそうなのだが、全面的に擁護する気にはあまりならない。犬神家の人々の扱いによって、珠世が『シンデレラ』か『落窪物語』のヒロインのようなイメージを持ってしまっているからか。
そして、犬神家とはまったく別世界で、貧しいながらものびのびと屈託なく生きているのが、ホテルのお手伝いさん。彼女がいて、ほっとする。
加藤武さんの、ちょっと間抜けな警察官(清涼剤)。
石坂さん演じる金田一でさえ、コミカルで…・
映像のインパクト。
情緒をかき乱される音楽。
緊張を煽るカット。清涼剤・息抜きシーン。そして、それぞれの登場人物の情緒をたっぷりと味合わせてくれるシーン。
凝りに凝っていたが、
それも、この俳優陣の布陣なればこそ。
都会育ちの私には、地方ってこんな風に恐ろしいしがらみに縛られているところなのかって、変な偏見を持ってしまった映画。
取り合っていたのは、お金?父の愛情?
陰で糸を引いていた人物は何をしたかったのか?血族の抹殺?
推理には、いろいろ突っ込みどころはあるけれど、
画の重みと言い、役者の立姿と言い、音楽と言い、何度も見入ってしまう。
LaLa様
コメントをありがとうございました。
本当におどろおどろしく、横溝氏ってホラー作家かと思ってしまいました(笑)。
それなのに、音楽の旋律は美しく…。
『ルパン三世のテーマ』の軽快さとはまた違い、聞きほれてしまいます。
とみいじょんさん ☆彡
懐かしいですね。
角川の横溝シリーズ
映像も暗く
おどろおどろしい場面が多くて
当時は、ハラハラして観ましたが
大女優の競演でしたね。
音楽は、大野雄二さんだった事に
最近、気が付きました。
レビューしていないので
気になさらずに・・
今晩は
小学生の低学年時にTVで放映していましたが、映画好きの両親から”観ては駄目!”と言われ、キチンと観たのはいつであったのか・・。
改めて鑑賞すると、角川映画を一気に押し上げた映画であったのだろうなあ、という重厚感がありましたね。
では。