劇場公開日 1976年11月13日

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「市川崑監督の謎な遊び心に満ちている!」犬神家の一族(1976) さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0市川崑監督の謎な遊び心に満ちている!

2015年8月12日
PCから投稿

好きで一番回数を観ている(某レンタル屋の従業員の方に、「お客様この映画は前に……」ええ借りてます!何回も借りてます!と食い気味で答える位に)映画です。

子供の頃に観て、衝撃を受けました。原作者の横溝正史せんせ作品は、私の脳内の半分を占めています。

通常「スローモーション」って早い動きをしっかり見せたい手法だと思っていたのですが、何故か崑監督は「船の底に穴が開いていてテンパる金田一耕助」をスローモーションで観せてくれたんです。何故、テンパる金田一をそんなにしっかり見せたいんだ?そこ?そこなのか?謎です。

勿論、物語の中にも謎は沢山潜んでいるのですが、この意味不明な崑監督の拘り。子供ながらに、謎の深さにびっくりした映画でした。

この他にも謎なシーンが沢山あって。例えばラスト辺りで、高峰三枝子演じる松子姉さんが、「佐清、佐清に会わせてください!」って叫ぶシーンですが、急に静まりかえった「青木湖」がドーンとアップになります。そこに微かに木霊する、松子姉さんの声……。え?屋敷で叫んだ声が、湖まで木霊したでしょうか?謎です。

あの大広間で三人姉妹が言い合うシーン。Aが台詞を言った後に、Bが台詞を言うのが普通だと思うのですが、本作ではAとBが同時に台詞を言い合います。これで混乱の状態、緊張は強くなるのですが、子供の私は唖然としました。謎です。崑監督謎です。
本作はそんな崑監督の遊び心に満ちています。

あと、ストーリーがとても魅力的です。個人的に誰かが死んでクライマックスな映画には、否定的です。「死」って、遺された人達がそれをどう受け止めるかで、意味が変わってくると思うからです。主人公は難病の彼女が亡くなっても、直ぐに他の子見つけるかも知れないし。分かんないじゃん!って思ってしまう。
本作は、死んだ「犬神佐兵衛」の遺言によって、遺族達が右往左往し悲劇が起こる。遺族達は亡くなった人の真意を探ることで、死者にコントロールされています。亡くなってるんだから、真意なんか分からないのにね。そこに、強く惹かれます。

(大声で)大好きです!!!

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夏斗