童貞(1975)
劇場公開日:1975年9月20日
解説
少年から“男”への成長期にある若者の恋と性へのあこがれを描いた青春映画。原作は福田章二の「軽やかに開幕」。脚本は松原信吾、監督は脚本も執筆している「球形の荒野」の貞永方久、撮影は「メス」の加藤正幸がそれぞれ担当。
1975年製作/90分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1975年9月20日
ストーリー
武志と葉子は幼友達。大学受験をひかえ、猛勉強中の武志にとって葉子との屈託のないひとときは楽しかった。ある日、二人は武志の叔父で弁護士の白坂に食事に招待された。ところが白坂の愛人・圭子を紹介されて武志は驚いた。彼女は武志が少し前、偶然に映画館の中で気を奪われた美貌の女性だったのだ。翌日、武志は白坂に以前からの約束の画集をやる、といわれてマンションのキーを渡された。部屋に入った武志はわが眼を疑った。そこには圭子が寝ていたのである。武志はしばらくためらっていたが、やがて圭子に近づき、唇を寄せた。気づいた圭子は驚いたが、やがて武志を迎い入れた……。圭子には、自分が一人で寝ているのを知っていて、武志にキーを渡した白坂を理解できなかった。また武志の心の中には白坂への対抗心が拡がっていった。葉子は武志の態度の変化に気づいた。やけ酒を呑む葉子。そんな葉子を見るに見かねた武志は思わず彼女の頬を打った。泣きながら葉子が去っていった後、武志は数人のチンピラに殴り倒された。今の武志は、父の忠告にも反発を感じた。いつも白坂を引き合いに出すからである。「叔父さんと比べるのは止めてくれ!」家を飛び出した武志は、圭子の所へ走った。荒々しい情事の後、「ここを出よう、どこかへ行こう」と武志は圭子を誘い、二人で父の別荘のある軽井沢へ行った。数日間は、武志にとって満足感と解放感に包まれた日々だった。しかし、圭子は、何もかも捨てて、一人故郷、九州へ帰る決心をした。ある日、別荘に戻って来た武志の前に一通の手紙が置いてあった。「さようなら、K」。その頃、白坂は行方を消した圭子への思慕で落ち着かなかった。どうやら本気に圭子を愛していることに気がついたのだった。やがて、圭子と結婚する決心がついたことを武志に知らせた白坂は、九州の圭子の実家まで迎えに行った。数カ月後。白坂と圭子のウェディング・マーチが教会に鳴り響いている。しかし、式に招かれた武志の心には、いつまでも圭子の置手紙が浮かんでいた。