アルプスの少女ハイジ(1974)のレビュー・感想・評価
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古きを温めて、新しきを知る。 3人の大巨匠が一つのエンドクレジットに名を連ねる様はまさに壮観!
1974年に放送を開始したテレビアニメ『アルプスの少女ハイジ』。
その第4話「もう一人の家族」を劇場公開用にブロー・アップ(テレビアニメやドラマのフィルムを、劇場公開する為に引き伸ばす事)したもの。
到来した嵐の後、怪我をした小鳥を見つけたハイジ。
一目で魅了されたハイジは、その小鳥の世話をするが…。
「東宝チャンピオンまつり」という興行で放映された一本。
「東宝チャンピオンまつり」とは1969年からスタートした映画興行。子供向け映画を数本纏めて放映した、抱き合わせ商法的なイベント。
1969年といえば、ハリウッド映画の波に呑まれて邦画が興行不振に苦しんでいた時代。
そのため、邦画業界では大幅な予算の削減が行われた。1971年に起こった黒澤明の自殺未遂も、邦画の予算削減の為に思うように映画が撮れなくなったことに起因している、とも言われている。
「東宝」の目玉商品、それはご存知『ゴジラ』!しかし、この『ゴジラ』も予算削減の波に呑まれてしまいます…😢
黄金期の3分の1とも4分の1とも言われる予算で『ゴジラ』を作らなければならない!という状況の中、考えられた策こそが「東宝チャンピオンまつり」だったわけです。
だから、本作も実は『ゴジラ』シリーズのおまけ。因みに同時上映された作品は『ゴジラ対メカゴジラ』である。
他にも『ウルトラマンタロウ』、『侍ジャイアンツ』、『新造人間キャシャーン』そしてアイドルグループ「フィンガー5」の映画という、豪華6本立て。…性別も嗜好も無視した、正に闇鍋状態。
こんな状態なので、「東宝チャンピオンまつり」は10年で終了。
62年からほぼ毎年作られていた『ゴジラ』シリーズも1975年を区切りに一旦終了。次回作は1984年まで待たなければいけない。
昔、『ゴジラ』と『とっとこハム太郎』が抱き合わせで放映されていたけど、これは「東宝チャンピオンまつり」からの流れだったんすねぇ。今回調べてみて理解しました。
全然関係ないことをベラベラ書いてしまった💦
本筋に戻します。
家庭教師のCMでもお馴染み、『アルプスの少女ハイジ』。無数の作品でパロディもされているし、この作品を知らない人はいないだろうが、実は観たことないっていう人も多い筈。なんせ45年以上前の作品ですからね…😅
かく言う自分も、今年になって見始めました💦
『ハイジ』というアニメについて書き始めるととんでもない文量になるので省きますが、簡単に言えば高畑勲・宮崎駿という両巨頭と、後年は任天堂で手腕を振るった小田部羊一という、若き日のアニメ界の三銃士が情熱を燃やした作品。
本作は連続アニメのうちの1話を切り出してブロー・アップしたものなので、これだけ鑑賞するとわかりづらいところもあるとは思うが、まぁ『ハイジ』の物語なんて大体みんな知っているから問題ないでしょう。
第1話を劇場公開するという考えもあったのだと思うが、第4話をピックアップしたのは動物がメインのキャッチーなお話だからかな?
たしかに小鳥のピッチーは可愛いし、ハイジと遊びたがるユキちゃんも可愛いし、やる気を見せるヨーゼフも可愛い。
また、ハイジが山の嵐に遭遇するという不吉な事柄から物語が始まり、小鳥の命がどうなるのか最後まで読めないサスペンスフルなお話だったことも映画化の要因だったのかも。
本エピソードは可愛らしいし、ほのぼのとしていて心温まる良いお話である。しかし、アニメファンの観点からするとこの第4話の価値は別のところにある。
なんと絵コンテを『機動戦士ガンダム』の富野由悠季(富野喜幸名義)が手掛けているのである!
エンド・クレジットに高畑勲・宮崎駿・富野喜幸の名前が並んでいる!!スゴイっ!
当時の富野由悠季は、虫プロを辞めてフリーのアニメーターとして活躍していた「さすらいのコンテマン」時代。
『ライディーン』や『ザンボット3』や『ガンダム』を手がける前なんだから時代を感じる。
実は宮崎駿と富野由悠季は同じ1941年生まれ。そのこともあってか、富野由悠季の宮崎駿へのライバル心は相当なものだったらしい。
以下、若かりし日の一コマ。
宮崎「富野くん、〇〇っていう本読んだ?」
富野「(うっ、その本は買ってあるけどまだ手を付けていない…)いや、まだ読んで無い…😖」
宮崎「ふーん。あっそう。読んだ方がいいよ。カリカリ✏️」
富野「(俺だって買ってはいるのに!悔しい〜😣)」
この体験が富野由悠季に宮崎駿への対抗心を芽生えさせたらしい。
対して、2人と付き合いのあるアニメ監督の押井守曰く、宮崎駿は富野由悠季のことが大好きなんだそう。
よく電話でおしゃべりをしていたとか。一体どんな話をするのか想像も出来ない💦
なんだかんだ、お互い認め合っている戦友同士なんだろう。
また話が逸れてしまった…😅
今や日本におけるメインコンテンツとなったアニメ。
美少女が出てくる日常系のアニメが沢山作られているが、大本はこの作品であるといっても過言ではないのでは。
まだ途中までしか観ていないが、本当に心が洗われる。
温故知新という言葉もあるように、新しいアニメだけでなく古いアニメも観なければアニメファンとは言えないっ!日本国民よ!『ハイジ』を観よ!笑
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