座頭市(1989)のレビュー・感想・評価
全11件を表示
永遠の勝新座頭市
シリーズ26作目。1989年の作品。
『~笠間の血祭り』以来16年ぶりで、最後の勝新座頭市。
主演のみならず、監督・製作・脚本も兼任。
久々の座頭市に相当の意気込みが窺い知れる。
以前、勝新自ら監督した『~折れた杖』は異色の作風だったが…
獄中の市。
出所した市は、馴染みの漁師の元にやっかいになる。
その一帯は、八州取締役に取り繕うとする二大やくざが睨み合う。
市は一方の賭場を荒らし、一方から用心棒の口利き。
そんな中、孤児たちの面倒を見る少女と心を通わせるが、彼女を八州が狙う。
遂に二大やくざ一家が争い、市もその渦中に…。
これが自身最後の座頭市になると分かっていたのか、それともこれを起点にまた新たにシリーズを作ろうとしていたのか。
王道も王道。
話に展開、二大やくざの抗争、悪徳取締、子供たちとの交流、お馴染みイカサマ博打、そしてクライマックスの大立ち回り…。
多少間延び感はあるものの、集大成といった感。
一癖二癖あるキャラを、一癖二癖ある豪華キャストが演じる。中でも、市と心を通わせ、斬らざる運命にある浪人を、緒形拳が好演。この浪人設定も無くては無らぬ。
人によって本作は賛否両論。“作品”としてではなく、作品を巡る“スキャンダル”で。
脚本は有って無し。その日その日変えられる勝新のワンマン体制。
大幅予算、日数オーバー。公開までに間に合うか。
でも最大のスキャンダルは、真剣による死亡事故。勝新の息子の奥村雄大が真剣とは知らずに相手を斬って死亡させてしまった事件…。あくまで“事故”を主張し、裁判では無罪に。撮影続行する勝新にはマスコミや世間の集中砲火…。
絶対にあってはならぬ事。管理体制の悪さが招いた最悪の不祥事。
これでお蔵入りや大コケだったら目も当てられないが、作品は大ヒット。勝新の執念。
勝新以後も多くの俳優が演じた座頭市。
しかし最近はビートたけしや綾瀬はるかの方が有名で、殊に若い人の多くは勝新座頭市を知らない。実際私のリア友は、「座頭市はビートたけしでしょ。勝新太郎なんて知らないし」。
何足る事!
勿論、それぞれの座頭市も魅力があった。
だけど、やっぱり座頭市と言ったら、勝新太郎!
あの茶目っ気、あのキャラ、あの殺陣、あのカッコ良さ。
今回シリーズ全作通して見て、そう思った。
お天道様の下を歩けないやくざ者。
が、弱きを助け、悪を斬る。
盲目でありながら、居合斬りの達人。
邦画史に残る名シリーズ、名ヒーロー。
勝新太郎没24年経つが、座頭市は今も日本人の心を旅し続けている。
約半年かけて座頭市レビュー終了!
次は何にしようかね(^^)
真剣を使って死者を出してしまった曰くつきの作品
市が壷を振り、壷からはずれたサイコロ6と1。みな半にかけるが、壷の中のサイコロが勝負なんだと樋口可南子の女親分が仲裁をとりもった。それがきっかけで一緒に風呂に入り、激しい濡れ場を演ずる二人。ストーリーはさっぱりわからないほどつまらないが、ラストの百人斬りは凄まじいまでの殺陣が光る。斬った首をさりげなく蹴飛ばすシーンが印象的だ。
勝新座頭市全26作に挑戦し、改めて見てみると、今作は時が経ってはいるけれども集大成という感が強い。まずは牢獄での生活。盲目ということでいじめられながらも鶴(片岡鶴太郎)の優しい心に触れた市。そして儀助(三木のり平)とのやりとり。海辺の一軒家で借りた三両を返すが、博打の元手にとそのまま三両を渡すシーン。2代目五右衛門(奥村雄大、勝新太郎の息子))親分の襲名披露の宴での出来事。今までの座頭市シリーズの名場面をそのままリメイクしたかのようだった。その他にもあんまの一行、子どもと落とし穴、そして五右衛門に雇われた浪人(緒方拳)との友情にも似た関係はかつてのライバルたちを彷彿させるが、絵描きでもある彼の心情がとてもわかりづらいのも味がある。
亡き鴈龍デビュー作
2021年4月17日
映画 #座頭市 (1989年)鑑賞
#勝新太郎 最後の座頭市
勝新が主演、脚本、監督、製作で、息子のデビュー作とやりたい放題
息子の #奥村雄大 は、18歳で大麻密売で逮捕され、2年後にまた逮捕され、4年後の今作でデビュー
撮影中に真剣で切られ役の俳優を死に至らしめるなどやりたい放題
元祖・ナメてた相手が、、、、
由緒正しき時代劇はクソ喰らえ、そんな己の代表作を自らの手でブッた斬った、勝新の衰え知らずな思考能力が炸裂したかのような斬新さが際立つ、本人のやり切った感が満載。
随所に垣間見れるコミカルな演出に笑えたり、勝新演じる市のキャラクターが可愛くも思え癒される。
中盤以降から話がとっ散らかった印象も受けるが、ラストの殺陣シーンは迫力もあり楽しめる。
内田裕也のトッポイ風貌からの情け無さ、こういう役を演じさせたら右に出るものはいない専売特許??
親のコネ感が滲み出る奥村雄大こと雁龍、セリフ回しや存在感も様になっていて良い役者になれた筈が、道を踏み外してしまったのが何とも惜しい。
陣内孝則の役はショーケンだったら良かったのに、それ以外の役者陣の起用含めた勝新のセンスの良さがキワキワ。
勝新太郎の集大成的作品。晩年のヤバさが滲み出ています。 撮影中、勝...
勝新太郎の集大成的作品。晩年のヤバさが滲み出ています。
撮影中、勝新のドラ息子が真剣で人を殺めるという信じられない事件が発生。それが返って箔をつけてしまったか、本作は大ヒット。ヤバい。
ストーリーは無用。登場人物は勝新によりほぼ全員が惨殺されます。13日の金曜日のジェイソンも真っ青なスプラッタームービーなのだ。樋口可南子も新人女優もただの艶女優扱い。ヤバい。
そして勝新はパンツ事件へ。ヤバすぎる。
BS-TBS視聴。
生まれてはじめて知った座頭市がこの作品。これを観たことによって時代...
生まれてはじめて知った座頭市がこの作品。これを観たことによって時代劇への見方がすっかり変わりました。
昔見た覚えがあるが、自伝からの流れで、久々に鑑賞。今見ても普通に面...
昔見た覚えがあるが、自伝からの流れで、久々に鑑賞。今見ても普通に面白い。ドレッドヘアーの侍とか、突っ込みも満載。ただ、本にも書いていたが、勝さんのセリフ、聞き取りにくいっす。緒形拳さんを切りたくなかったという話も本にあったが、本当に座頭市と同化してたのかな?きっと、器用な人なのかと思う。
勝新太郎の男臭さと生々しい物語が迫力がある
総合85点 ( ストーリー:80点|キャスト:90点|演出:80点|ビジュアル:80点|音楽:75点 )
勝新太郎作品を初めてみたが、まずその男臭さの漂う演技と存在感が凄まじくて迫力があった。明るい電気照明もない時代設定のために、照明を抑えたやや薄暗い日本家屋の撮影の仕方が、美術や衣装とともにその時代にいるかのような本物らしさを出してくれていた。盲目の男が健常な人より強いとか、多数を一人で相手に戦って勝てるというのは非現実的だが、そこはそういう前提の娯楽作品なのだから目をつむろう。
登場人物が敵も含めてみんな個性的で、よくあるくだらない時代劇のように善と悪をはっきりとわけるのではなく、お役人も任侠たちも自分の利益のために好き勝手に力を使って動いている様子がまた生々しい。正義に燃えるいい人を登場させようなんてことをすることもなく、少しも観客に媚びることのない潔い姿勢が清々しい。
座頭市はもともとテレビ向け作品のようだが、観たことはない。もしそのテレビ版もこのような生々しさだったらたいしたものだ。
劇中に登場する日本の音楽はいいのだが、美術や衣装にここまで日本風にこだわっておきながら英語の曲が流れたのは気に入らない。
全11件を表示