あなただけグッドナイト あゝ伝次郎
劇場公開日:1985年3月2日
解説
一風変わった中年男と若い女性の愛を描く。この作品は83年に製作された「あゝ伝次郎」を改題して再構成した。監督は、この作品の脚本も執筆した「夏の別れ」の井上眞介、撮影は「チーちゃんごめんね」の鈴木耕一が担当。
1985年製作/93分/日本
配給:イーグルズ・カンパニー
劇場公開日:1985年3月2日
ストーリー
プレイボーイをきどる独身中年男・大河内伝次郎は中古車再生販売会社を経営する、自称社長である。ある日、仕事で地方へ出た彼は、いま風に翔んでるロック歌手志望のベニーこと朝霧紅子と出会った。伝次郎に送られて東京のアパートに帰って来たベニーは、留守中に他の女を部屋に連れ込んでいた同棲相手の男・健に腹を立て、そのまま伝次郎のマンションについてきてしまう。だが、伝次郎はベニーの底抜けな無邪気さに手がだせない。そんな彼を、行きつけの安食堂の烏賊親父がひやかすのだった。新種のミニカーを、馴染みの客である芸者・玉奴のもとへ届けに行った伝次郎は、次の日、車の代金をもらいに、玉奴ともども彼女のパトロンで通称ハマトラこと浜栗寅吉のもとへ足を運ぶ。ハマトラは次期市長を狙って選挙戦のまっ最中で、多額の金をエサに伝次郎を巻き込んでしまった。伝次郎はベニーと仲間のバンドの連中をかつぎ出し、“政治とロックのスペシャルナイト”と銘うった大コンサートを開催。選挙ばなれした若者の票を大量に得たハマトラは、晴れて大勝した。しかし、伝次郎とベニーはハマトラの裏切りで一銭もとれず、一時は気を落とすが、互いに力を合わせてお金を稼いでいこうと気勢をあげるのだった。やがてベニーは、伝次郎の優しい想いにぬくもりを感じ始めていく。その日から、二人のアットホームな生活が始まった。プレイボーイの伝次郎が真剣に結婚を考えた。ベニーに九州のライブハウスで歌う話が持ち込まれた。一年たったらきっと帰ってくるというベニー。しかし、伝次郎はもう二度とベニーが帰ることはないと確心していた。別れの朝がやって来た。伝次郎は駅までベニーを送るが、別れ際、到着した電車から降りて来る大群衆に巻き込まれて彼女を見失う。伝次郎は遠去かる電車に寂しく手を振った。その時、彼を呼ぶベニーの声がした。彼女は電車に乗らなかったのだ。二人は肩を寄せ合い、幸せそうに駅を去って行った。