青春の海(1933)

解説

「ボートの八人娘」のカリン・ハルトが主演し、同じく「ボートの八人娘」「セロ弾く乙女」のエリッヒ・ワシュネックが監督する映画。ドイツで知名の小説家マンフレッド・ハウスマンの小説「ハーモニカのアベル」から、ハウスマン自らヴォルター・ミューラーが脚色したもの。音楽は新顔のクレメンス・シュマルスティッヒが担当、撮影は「狂乱のモンテカルロ」のギュンター・リッタウが当たっている。助演は「若きハイデルベルヒ」のハンス・ブラウゼウェッター及びカール・バルハウス、舞台から来た新人カール・ルドウィッヒ・シュライバー、ゲーツ・ウィットゲンシュタインや、「ワルツ合戦」のハインツ・フォン・クレーフェ、「桃源郷」のパウル・ハイデマン等。

1933年製作/ドイツ
原題または英題:Abel mit der Mundharmonika

ストーリー

十七才のペーターは両親がエンガーデンへ避暑旅行に出掛けるのを待ちかねて、帆具店の息子である友達のユンボーの家へ駆けつけた。二人は海へ行くのだ。青い海へ白いヨットを浮かべるのだ。ヨットは気持ちのよい「海豹号」だ。二人は意気揚々と帆を張った。快い夏の風は一ぱいに帆をふくらませた。二人は海上で溺れかかっている若者を救った。彼の名はアベルと言う。彼は秘蔵のハーモニカを失わなかった事だけで晴やかだった。やがてアベルの吹くハーモニカの優しいメロディが海上を流れた。ペーターもユンボーもうっとりそれに聞き入った。三人の若者はコリンナという少女に出会った。コリンナは友達のハリーやエラースと共に軽気球競技に参加していた。ハリーとコリンナは、この空の上で生まれて初めて接吻し、愛の言葉を囁いた。夕方になると風が出て軽気球は海へ流れて行った。ハリーはコリンナを気球の上から海へ投げ込んだ。ヨットがこの少女に出会ったのはこの時だった。その夜コリンナはヨットに寝た。アベルは何故か胸がときめいた。朝が来ると一同は燈台の岩に上りペーターとユンボーは岸を駆けまわり、アベルはコリンナの傍に腰を下ろした。彼は思いをこめてハーモニカを吹いていた。その午後ヨットはブレーメルハーフェンに着いた。コリンナは岸壁に迎えに来ていたハリーの姿を見出して嬉しさに顔を赤らめる。ハリーはやはり頼もしい青年だった。コリンナを気球から投げたのは、あの時危険から遠ざけるためだった。二人は恋人同志だったのだ。アベルは哀しそうである。海で得た恋と、海で失った恋。ペーターがそれを慰めた。「くよくよするなよ、俺達は若いんだ。君はハンブルグを知らないからこのヨットで連れて行くよ。又きっと面白い事があるぜ。」アベルはやっと気を取り直してハーモニカを吹いた。若き日の喜びと哀しみを伝えるハーモニカを。

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