モスコーの夜は更けて

解説

「あかつき」「ジャンダーク」と同じくグスタフ・ウツィツキがゲルハルト・メンツェルの脚本によって監督した作品で、撮影には「あかつき」「白鳥の舞」のフリッツ・アルノ・ワグナーが当たった。主役は「ペーア・ギント」「あかつき」のハンス・アルバースが勤め、「モンブランの王者」のブリギッテ・ホルナイ、新進女優グスティ・フーバー、ケーテ・ドルシュ、「ジャンダーク」のアリベルト・ヴェッシャー及びルネ・デルトゲン、舞台出のアレクサンダー・エンゲル、古顔のヤコブ・ティートケ等が助演する。装置は「ジャンダーク」のロベルト・ヘルルトと ワルター・レーリッヒで、音楽は「トンネル」のワルター・グロノスタイが受け持っている。

1936年製作/ドイツ
原題または英題:Savoy Hotel 217

ストーリー

大戦前のモスコーの町を走る一台のトロイカがサヴォイ・ホテルの前に止まった。妖艶なナスターシャがセルゲイを振り切って二一七号室へ消えた。彼は男から男へ移り歩く彼女の為にシベリア流刑にまで遭った男だ。セルゲイはこれも彼女に棄てられたフョードルと自棄になって酒を飲んだ。ナスターシャは誰かに狙われている様な不安を感じて、それを避ける為にホテルの給仕長アンドレイを自分のものにしようとした。強く逞しく浮気者のアンドレイは、小金を貯めている女中頭アンナにも想われている。しかし彼は雇われたばかりの若い女中ダァシャに目をつけて、仕事が終わると彼女を連れて盛り場へ遊びに行った。ダァシャの浄らかな美しさに彼は始めて女の心に触れた様な気がした。夜更けて二人がホテルへ帰ると、ダァシャの着て出た衣裳は二一七号室で盗まれたものだと騒いでいる所だった。アンドレイがナスターシャから貰い受けたと話しても、嫉妬に狂った彼女はダァシャの為に弁解してはくれなかった。ダァシャの潔白を証明する為にアンドレイは二一七号室に飛込んだ。二人が言い争った途端に銃声が響いてナスターシャは倒れた。一人の男が入口から脱兎の様に逃げた。犯人はその男かもしれぬ。疑われ乍らアンドレイは一応保釈された。その夜限りホテルをやめたアンドレイとダァシャは、寄席の手品師パヴェルの相棒として働く事になった。貧しい乍ら幸福な二人の生活が始まったが、嫉妬に燃えたアンナが有る事、無い事を密告したのでアンドレイは直ちに逮捕された。警官の隙を狙って彼は逃走しモスコー中を探し歩いて真犯人を突きとめようとした。汚い木賃宿で彼はフョードルが真犯人である事を知り、大乱闘の後、もはや逃げられないフョードルは拳銃で自分の胸を貫いた。明るく晴れた朝、今は全く疑い晴れたアンドレイはダァシャを胸に抱いてペテルブルグへ向かい希望の旅に出発した。

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