シピオネ

解説

「おもかげ」「唄へ今宵を」のカルミネ・ガローネが監督に当たったイタリア国策映画ともいうべき大作で、ガローネ自らマリアニ・デラングラーラ及びS・A・ルチアーニと協力して原案を樹て脚本を書上げたもの。主演はアンニバレ・ニンキで、カミロ・ピロット、「生けるパスカル(1936)」のイザ・ミランダ「リビア白騎隊」のフォスコ・ジアケッチ、フランチェスカ・ブラジョッチ、マルチェロ・ジョルダ、「おもかげ」のランベルト・ピカソ、ライモンド・ヴァン・リエル其の他が共演している。セットはピエトロ・アスキエリ、撮影はウバルド・アラタとアンキーゼ・ブリッツィ、音楽はイルデブランド・ビゼッチ、とそれぞれ錚々たる人々が動員されている。

1937年製作/イタリア
原題または英題:Scipione L'Africano

ストーリー

紀元前四世紀頃にはアフリカ北岸に商業都市として勃興したカルタゴは、地中海を征服し余威を駆って欧州の制覇を志し、紀元前二世紀の始め、勇将ハンニバルはイスパニアから陸路アルプスの天険を越えてローマに侵入した。トレビア河畔、トラシメヌス湖畔カンネ等で大敗したローマ軍は今や敵の大軍に首都ローマを蹂躙されるに至った。元老院は主戦と非戦の両派に分かれて対立し、国論のために沸騰した。この時ローマの若き将軍シピオネは蹶然起ってカルタゴからイスパニアとシシリイ島を奪還した。彼は更に元老院の少壮議員と呼応してカルタゴを征伐しようとしたが、元老院の現状維持派は容易にそれを聞き入れなかった。しかし祖国愛に燃える少壮議員は遂に現状維持派を圧し、ここにシピオネはシシリイ島の統治権を與えられ、精悍無比の軍隊を率いてこの島に乗り込み、着々とカルタゴ討伐の準備を整えた。当時最大の強国であるカルタゴに対し、持たざる国のローマは武器、食糧の欠乏に悩んだが、多くの愛国者達はシピオネの為に武器、食糧を配給した。その間アルプスに陣を張るハンニバルは、カルタゴからの援軍を待つ間に士気は漸く阻喪した。カルタゴではシピオネの進出を知って混乱状態に陥った。カルタゴに隣接するヌミディア王国のシファチェは由来ローマの味方として知られていたが、ハンニバルの弟アスドルバルの娘ソフォニスバと結婚し、彼女の容色に迷って遂にカルタゴの味方となった。シピオネはソフォニスバの前の婚約者である。マッシニッサを味方に入れ、シファチェに対して講和を勧告したが、ソフォニスバに嗾かされた彼はそれを拒けて戦いを挑んだ。シピオネは敢然として兵を進めた。マッシニッサは夜陰に乗じてシファチェの陣に火を放ち、王は処刑され虜の身となった后は毒を仰いで彼に殉じた。周章狼狽したカルタゴはハンニバルの許に急処帰国せよと使いを出した。ハンニバルは自分の要求には援軍も送らず、ただ危ない時だけ救いを求めるカルタゴの態度に、運命を知りつつ兵を纏め、ヴェリアや其の他の捕虜を連れて帰国する事になった。既に勝算がないのを知るハンニバルは、講和を締結するためシピオネに会見を申込んだ。しかし不幸にしてこの歴史的会見は不調に終わり、紀元前二〇二年、数十万より成る両軍はザマの大平原に相見えた。ハンニバルは得意の戦法である巨象軍を率いて自ら陣頭に立ったが、シピオネは中央線突破に成功し、この為ハンニバル軍は総崩れとなって敗退した。かくてカルタゴは滅亡し、ローマの地中海、北アフリカの生命線は確立して、ローマ国民は再び平和な営みに従事した。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第5回 ベネチア国際映画祭(1937年)

受賞

ムッソリーニ杯(最優秀イタリア映画賞) カルミネ・ガローネ
詳細情報を表示

映画レビュー

映画レビュー募集中!

この作品にレビューはまだ投稿されていません。
皆さまのレビューをお待ちしています。
みんなに感想を伝えましょう!

レビューを書く