ヴァリエテ(1936)

解説

「国際間諜団」「コスモポリス」のハンス・アルバースと「戦いの前夜」「最後の戦闘機」とが主演する映画で、「ドン・キホーテ(1933)」その他を撮影したニコラス・ファルカシュが監督に当たったもの(第一回作品は「ラ・バタイユ」)である。脚本もファルカシュが「アスファルト」を原作・脚色し「巴里-伯林」を原作したロルフ・E・ヴァンローと協力して書き卸している。キャメラはヴィクター・アルメニーゼ、音楽はハンス・カルステの担当である。助演者は「トンネル」のアッティラ・ヘルビガーを始め、カール・エトリンガー、エルンスト・ロトムント、サイレント時代から名あるニコライ・コリン等である。

1936年製作/ドイツ
原題または英題:Variete

ストーリー

ある村で、旅廻りの小サーカスにいるジャンヌとピエルとジェルジュという三人の芸人が夜の演技に客を呼んでいる。今日は三人にとって大事な日である。というのは、マネジャーのマックスの尽力によって、今日は有名な大サーカスの支配人が三人のブランコ曲芸の技を見に来て、気に入れば契約しようという事になっているのである。支配人は来るが、約束の曲芸の代わりに芸人たちと村人の一部との大喧嘩を見させられる。芸人たちは喧嘩に勝つが、その代わり天幕は破られ道具は壊されて、大サーカスの支配人はびっくりして逃げてしまう。しかし支配人は、翌日三人の演技を町で見てやろうと、一本の希望の綱を残して行く。翌日三人の技は大いに気に入られ、直ぐ素晴らしい契約が結ばれて、三人は次の晩から、「三人のマキシム」として舞台に出ることになる。この出世によって三人の生活は大いに変化する。優雅なホテル住居、洋服屋、理髪師、新聞記者のインタヴュー、サーカス界の国際的大スター達との面会など、三人の面食らうことばかりである。一方今迄仲良くしていた三人の心の中に葛藤の芽生えが生ずる。永い間ひそかにジャンヌを恋していた中年男ジョルジュは、結婚の申し込みをしたいと思うが、自分からは言い出せないのでピエルを申し込みの使者に立てる。しかしジャンヌはピエルの方を愛しているので申し込みを断る。嫌われている事を知ったジョルジュはピエルを恨み、ピエルは益々ジャンヌに心惹かれる。芸人達の宴会で二人は激しく言い争い、翌朝、試演の際ジョルジュはピエルを故意に転落させる。しかしピエルは救助網によって危うく怪我を免れる。永い間の友諠が破れて闘争が始まった事を知ったジャンヌは、最悪の事件を未然に防ごうと晴れの演技開始をやめさせようと試みるが、その甲斐はなく演技が始まる。二人の男は大円天井の高い所に憎み合って相対している。しかし最後の瞬間に二人の心には、義務感が湧き起こって、二人は演技を無事且つ見事に遂行する。その時、興奮の余り失神したジャンヌは高い綱から落ちそうになる。それと見たピエルは果敢にも空中を飛んで行って彼女の危急を救う。観衆は大喝采して「三人のマキシム」を脚光のところに呼び出すが、現れるのはピエルとジャンヌだけである。ジョルジュは大急ぎで着替えて別れも告げずに立ち去ったのであった。アンコールに答えて恋の幸福に酔いながらも職業意識を忘れず、ジャンヌとピエルは再び綱につかまる。今は「二人のマキシム」としてその名を謳はれるのである。

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