自殺倶楽部

解説

「伯爵令嬢」と同じくリヒャルト・オスワルドが監督製作した映画で、エドガー・アラン・ポー作『黒猫』とロバート・ルイス・スティーヴンソン作『自殺倶楽部』とを按配して「最後の中隊」「旅愁」のハインツ・ゴールドベルクがオイゲン・サトマリと共同して台本を作った。撮影は「伯爵令嬢」のハインリヒ・ゲルトナーである。主演者は「寵姫ズムルン」「妖花アラウネ(1927)」以来久々のパウル・ヴェゲナーと、「O・F氏のトランク」のハラルト・パウルゼンで「朝から夜中まで」のロマ・バーン、「黒衣の処女」のメアリー・パーカー、「蠱惑の街」のオイゲン・クレッパー、「最後の中隊」のパウル・ヘンケルス、新人ヴィクトル・デ・コヴァ等が助演している。

1932年製作/ドイツ
原題または英題:Unheimliche Geschichten

ストーリー

或男が妻を殺した。その殺人者は、得体の知れない、世にも奇妙な発明に没頭していたのであるが、妻の愛玩する黒猫の鳴き声が彼の神経をいら立てた。日夜彼は黒猫を憎み、遂にこれを殺そうとして黒猫もろとも妻を殺してしまったのである。断末魔の黒猫のすさまじい叫び声が夜の闇をつんざいて響いた。新聞記者のブリッグスがこの声をきいた。ブリッグスの密告から警察は兎に角この発明家を訊問して見た結果男の妻が行方不明になったことを知ったが、彼の犯罪を擧げるにしては証拠は何も残っていない。そこで厳重な家宅捜索が開始されたが壁土の向こう側に妻の屍体があることを誰も気付かなかった。ほくそ笑んだ殺人者は、生々しい壁を叩いて見せた。すると何とした事だ壁の向こう側からまがう方もない不気味な黒猫の鳴き声がきこえた。周章狼狽して逃げ様とする殺人者の後を記者のブリッグスが追った。殺人者が逃げ込んだのは怪奇を極めた蝋人形の陳列場だった。激しい格闘の後二人とも傷つき、ブリッグスは病院に運ばれた。その後彼は殺人者が或怪奇な倶楽部の会長を務めているのを知り、傷がいえてからその倶楽部を訪れた。それは世にも不思議な倶楽部だった。会員の全部は発狂者又は変質者で、殺人者に操られ、会員はカルタを引き順次に自殺して行かねばならなかった。ブリッグスは殺人者の罠に陥ち、死の宣告が與えられた。夜十二時ブリッグスも自殺倶楽部員として自殺してしまったのである。殺人者がブリッグスの死を見て快心の笑いを洩らしたとき順番は殺人者にも廻ってきた。突如鉄の首輪がその咽喉を堅くしめ彼は身動きも出来なくなった。そしてそこには自殺した筈のブリッグスが立っているではないか。殺人者の悪運は尽き、計ろうとして却って慧敏なブリッグスに計られたのだった。彼がなんなく逮捕されたことは言うまでもない。

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スタッフ・キャスト

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